博報堂ら、マイカー乗り合いサービス「ノッカル中田」の実証実験開始
2022/11/9(水)
株式会社博報堂(以下、博報堂)らは、富山県高岡市中田地区にて、マイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカル中田」の実証実験を開始した。11月8日付のプレスリリースで明かしている。
同実証は、中田地区コミュニティ協議会、富山県高岡市(以下、高岡市)、博報堂の3者で実施する。国土交通省の「事業者協力型自家用有償旅客運送」制度に即し、博報堂が開発したMaaSシステムを使用して、住民の移動課題の解決を目指す。なお、「ノッカル中田」は、富山県朝日町で導入している「ノッカルあさひまち」を応用した最初の取り組みだ。
同協議会は、これまでにも、高齢化による、運転免許返納者の増加や、運転に不安を覚えてきた人が増えている中で、持続可能な取り組みとして、路線バスをPRするなどさまざまな取り組みを行ってきた。今回は地区の移動手段を増やすため、「ノッカル中田」の実証実験を行う。
同実証では、まず運行地域を中田地区の一部地域(般若野 はんにゃの)に限定して行い、その後、中田地区全域に広げていく予定だ。同協議会が運営の主体となり、地域の実情に応じた持続可能な運行の実現を目指す。ドライバーは中田地区の住民が担当し、運行管理は高岡交通株式会社が担当する。さらに、高岡市から運行経費の一部を支援してもらう予定だ。
具体的には、中田地区を行き来するドライバーの車に、移動したい乗客が「乗っかる」という仕組みだ。ドライバーは助け合いの精神のもと、自分の予定に合わせて、近所の利用者を自分の車に乗せて、目的地まで送迎する。利用者は、ドライバーの予定を見て、前日までに電話またはLINEで予約し、ドライバーの車で目的地まで移動する。
なお、高岡市は、鉄軌道や路線バスといった骨格的公共交通の維持に努めながら、これらと地域とを地域住民が主体となって運営する、「市民協働型地域交通システム」でつなぐ。これにより、市内全体の移動利便性を高めていく交通ネットワーク「高岡型コミュニティ交通」の確立に取り組んでいる。中田地区で「ノッカル中田」の実証実験を側面的にサポートし、中田地区の実情に応じた地域交通サービスを導入できるよう支援していくという。
さらに、博報堂は、地域の社会課題解決に取り組む上で、地域の住民・事業者・自治体と連携することが不可欠と考えているという。同取り組みにおいても、マイカー乗り合い交通サービス「ノッカル」を、地域住民と連携しながら、中田地区に適した形を探っていく予定だ。「ノッカル」を運行するための博報堂オリジナルMaaSシステムをそのまま提供するだけでなく、「ノッカル中田」が地域に馴染むためのサービス設計も一緒に行っていくという。
くわえて、3者は、今後「ノッカル中田」により、高齢者だけでなく、非免許保有の若年層など、現在、移動に困っている人だけでなく、将来、移動に困る可能性のある世代も安心して住み続けられるまちを目指す。そして、助け合いによる交流により地域の活性化によりつなげたいと述べている。