日野が国内初の水素大型トラック発売、航続650キロ
2025/9/18(木)
日野自動車は燃料電池大型トラック「日野プロフィア Z FCV」(以下、Z FCV)の量産を開始し、10月24日に発売すると9月17日、発表した。「環境性能と実用性を両立した国内初の量産モデル」で、当面はフルメンテナンスリースによって100台を目標に普及を図る。
「Z FCV」は既存の大型トラック「日野プロフィア」をベースとしトヨタ自動車と共同開発した。燃料電池を配置した上で幹線輸送に求められる積載量を確保する専用シャシ(車台)を設計。パワートレインのFCスタック2基は、トヨタの燃料電池車「MIRAI」のものをトラック用途に合わせて出力・耐力を高めた。水素充填に30分、2口で充填すれば15分かけることで航続距離(社内測定値)650キロとし、長距離の幹線輸送に耐える仕様とした。
日野は「Z-FCV」をまず、経済産業省が定める※「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」を中心に広める考え。製造は、古河工場(茨城県古河市)の量産ディーゼル車と同じラインで「混流生産」で行う。
※東北(福島県)、関東(東京都及び神奈川県)、中部(愛知県)、近畿(兵庫県)、九州(福岡県)。官民一体となり、先行的な燃料電池商用車の需要創出及び周辺需要の喚起を図っていく地域(プレスリリースより)
参照:経済産業省 燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域
参照:経済産業省 燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域
日野は「Z FCV」の実証車を2023年に製作し、複数社の物流大手やトヨタと共に累計40万キロの実証走行をしてきた。「Z FCV」には、カーボンニュートラルに価値を見出す荷主をもつ需要家から引き合いが寄せられている。発売と量産開始を受けて日野は今後、水素充填口を大きくして充填時間10分を目指したり、需要が集まる低床車を検討したり水素インフラの整備を呼びかけたりすることで燃料電池大型トラックの普及に力を入れる。