充電待ち不要、防災にも備える可搬バッテリー

可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」(以下、モバイルパワーパック)の強みは当然ながら人の手で簡単に着脱、持ち運びができること。外出先で充電済みバッテリーに交換することで長時間のモビリティ充電を避けられ、他のモビリティとの共用も可能。非常用電源としても使いやすい。

ホンダは2022年より電動二輪車メーカー各社、ENEOSホールディングス株式会社と共同でモバイルパワーパックのシェアリングサービス「Gachaco」を運営。電池の交換ステーションを設置して可搬式バッテリーと電動モビリティの普及に努めている。

搭載モデルの数々、ヤマハ車台もお披露目

MEV Conceptエンジン車EV転換を例示

MEV(Micro Electric Vehicle)Conceptはエンジン車「N-VAN」の動力をモバイルパワーパックとドライブユニットに置き換えたモデル。

ホンダは「モバイルパワーパックを活用した、既販車向け電動パワーユニットのコンセプトモデル」と位置付けている。「バッテリーシェアリングによる利便性向上など、固定式バッテリーEVとは異なる魅力と価値の提供を検証」することが目的だ。

主な特徴について「既販のモビリティをEVへとコンバート可能」「充電ステーションを活用してバッテリーを交換することで待ち時間なく継続して走行可能」「脱着式バッテリーをその他製品群と共用することで様々なシーンで電力の供給が可能」の3点を挙げている。

動力源はモバイルパワーパック8基とドライブユニット2基。車両中央部の床下に電池を、前後にモーターをそれぞれ配置している。航続距離は75㎞、最高速度時速70㎞以上(参考値)。現状、発売の予定はないが、ユーザーのニーズに応える形で実車を製作、展示した。


ブースでは「電動耕うん機　コンセプトモデル」や「eGX搭載電動レーシングカート コンセプトモデル」も展示。実用、レジャーを問わず可搬式バッテリー活用のモビリティの可能性を示した。

25年発売見込むヤマハ車台など、他社のホンダ電池採用例

ホンダのブース内では、モバイルパワーパックを動力とする他社製のコンセプトモデルも目立った。中でもヤマハ発動機株式会社(以下、ヤマハ)は「YAMAHA MOTOR PLATFORM CONCEPT」を出展した。1、2人乗りパーソナル低速モビリティのプラットフォームで、2025年の発売を見込んでいる。

ヤマハはプラットフォームについて日常の個人の移動、工場での搬送など幅広い用途のモビリティとして活用を想定している。展示ブースでの説明によると、自前でモビリティ開発をするよりは、プラットフォームを他社に提供して協業し、さまざまなモビリティ開発の役に立てる考え。

プラットフォームはパーツを入れ替えることで車幅を変更できる。また、通信による追従機能をもち、倉庫内などで隊列走行も可能だ


ほか、ホンダのブース内では他社によるモバイルパワーパックを採用したコンセプトモデルが多数展示されていた。農作物収穫ロボットや、小型建機などだ。

充電、非常時のEV活用に向けたホンダ製品

ホンダはモバイルパワーパック専用の充電器や可搬式、固定式バッテリーをEV以外の電源として活用する例も展示した。

「Honda Power Pack Charger e: Prototype」は近く発売を予定しているモバイルパワーパック専用の充電器。事業所や家庭に簡単に設置でき、充電は電池をセットするだけで済み、満充電になると自動停止する。

同じく発売を予定している「Honda Power Pod e: Prototype」はモバイルパワーパックを搭載したポータブル電源。固定式のEVから電気を取り出して交流100V/200Vで出力する外部給電器「Honda Power Exporter e:6000 Prototype」も紹介された。