心拍から感情検知、マッサージでストレス減らすシート

「Body Maintenance System」として紹介されたシートは、身体の動きから心拍数を読み取り、運転者の感情を分析して安全運転ができるよう導くためのもの。身体に当たる部分の内部に空気入りの袋(ブラダ)が多数詰まっていて、身体からシートに伝わる振動で袋の中の空気圧が変化。空気圧センサーによって心拍数を判断する。心臓の動きが身体にも表れるという。そのため、シートで心拍を読み取れる。

運転者の感情は縦軸に「覚醒・眠たい」を、横軸に「快・不快」をとった図表上に表され、その位置によって4つの状態に分かれる。この状態が青い円で示される適正レベルの外にあると車載システムが判断すると、シートが事故防止のための動きをする。

「ストレス」状態にあるときは、空気袋の動きが大きくなって運転者をマッサージしたり、「眠い」に寄っていれば叩くような動きをしたりで適正状態へと導く。また、車室内が光ることでも、これらの効果を促す。

アイシンの既存商品として、マッサージ機能付きの「ニューマチックシート」があり、Body Maintenance Systemの構想につながった。マッサージは実際に心地よく、ストレスを軽減してくれそうだ。

疲労や眠気の判断をするのに顔や目の動きでなく心拍に着目した理由は、運転者の感情が顔よりも先に身体に現れるためだという。アイシンは他社と連携し、スマートウォッチを使った感情検知も研究している。

ニーズに合わせ高い自由度　In-Cabin Monitoring

「In-Cabin Monitoring System」は広視覚カメラを使ってシートベルトの適正でない使用などを検知する。シートベルトをしていなかったり、身体の前に回して締めたふりをしていたりをカメラがとらえて警告する仕組み。

姿勢の検知にも利用でき、「リクライニングしすぎ」「ダッシュボードに足を乗せている」「エアバッグに近すぎる」といった不自然な状態を警告する。また、カメラは身振り、感情、心拍の感知にも利用できる。

In-Cabin Monitoring Systemはベース技術の開発を終えた段階。安全性、便利さなど求める機能、どんなクルマに載せるかに合わせてカスタマイズしやすい点を特徴とする。

置き去り防止と侵入検知

アイシンは子供の置き去り防止機能についても展示した。ミリ波レーダーを利用して車室内にいる人の身長や姿勢などを分析。子供が取り残されていると判断すると、音やスマートフォンへのメッセージで警告を発し続ける。保護者がクルマに戻るまでの間、サンルーフを自動でくもらせて日射しから子供を守る様子も実演して見せた。

置き去り防止と共通した技術を用いる車外からの侵入検知も紹介された。これらの機能を他にも応用できる可能性を見込んでいる。

運転解析、チョイソコ、「自動バレー駐車場ハブ」も紹介

製品紹介の他に、アイシンが日本内外で進めるITSの取り組みが多数紹介された。

欧州で活用されている「RoadTrace」は、コネクテッドカーより得られる運転データから事故リスクが高い地点や渋滞が起こりやすい場所を分析・可視化するサービス。

対になるサービスとして日本で道路の維持管理に用いられている「みちログ」が紹介された。電子制御ユニット(ECU)とカメラを取り付けた車両の走行データやカメラ画像に基づいて効率よく道路の亀裂発見や路上の分析をする。

また、アイシンは「自動バレー駐車」の駐車場を「ハブ」として、充電や小型モビリティと組み合わせる「Mobility-Hubs Parking Concept」構想や、2018年以来取り組むデマンド乗り合い交通「チョイソコ」についても紹介した。