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ホンダ、持続可能なモビリティを宇宙までも動かす【JMS2025】

2025/12/29(月)

ホンダがジャパンモビリティショー 2025で展示したのは、四輪車・二輪車をはじめとして陸海空、宇宙までカバーする製品群だった。三部敏宏社長は四輪車の自動運転技術や航空機の姿勢制御がロケット開発にも生かされていると、自社の幅広な技術力を強調した。

インドから日本、世界を狙う「ゼロ」と“エンジン音”際立つBEV

四輪BEV「Honda 0 α(読み:ホンダゼロアルファ) プロトタイプ」は世界初公開のモデル。海外で披露済みの「SALOON」「SUV」に続くHonda 0シリーズの一つだ。

ゼロシリーズの開発思想「Thin, Light, and wise.」(薄く、軽く、賢い)にのっとった、SUVながら「0シリーズの入口となる、初めてEVを選ぶ人にもフィットするクルマ」(プレスリリースより)としてデザインされた。インドで生産し、2027年に同国、日本、世界市場を見据えて販売する。他2モデルの「SALOON」「SUV」は北米で生産を始めて同市場から発売し、「アルファ」と合わせて3モデルを2027年度までに日本でも販売する。会場の説明員は3モデルでグローバル展開したいと示唆していた。

小型BEV「Super-ONE Prototype」も世界初公開された。2025年9月発売の軽BEV「N-ONE e:」など「Nシリーズ」のプラットフォームを活用した。ホンダが打ち出した長所は同モデル専用に開発した「ブーストモード」。「アクティブサウンドコントロール」と「仮想有段シフト制御」を併用したブーストモードによって、加速時に仮想エンジン音を発生させ、ギアチェンジ感覚が再現される。「加速に優れ、走行音が静か」なBEVの構造と相反する、エンジン車に特有な操作や音の魅力を加えた。2026年、まず日本で発売される。小型EVの需要が大きいという英国やアジア各地でも走行試験を重ねており、現地向けの名称で発売予定だ。

日本でも好評の高級BEV、粋なHEV、2027年新ADASを投入

「Acura(アキュラ) RSX Prototype」は日本初公開のBEV。次世代EVプラットフォームを採用する初のモデルとなる。また、各ユーザーの車内での行動を学習し、“超・個人最適化”された運転環境を提供するビークルOS「ASIMO OS」も搭載する。米国オハイオ州の工場で量産する同モデルは、北米や中東を主要市場とする。発売は、2026年後半を予定。日本市場向けにもニーズ次第で販売を考える。来場者の反応は「非常にポジティブ」(説明員)だった。


2025年9月に発売した新型HEV「PRELUDE」(プレリュード)は「操る喜びにこだわったスペシャリティスポーツハイブリッド」。三部社長は「社長就任の当初、『今のホンダを象徴する粋なクルマが欲しい』と開発を始めた。自分で買って乗っているホンダ渾身のモデル」と語り、とりわけ強い思い入れを見せた。


三部社長はモビリティの「知能化」を象徴する次世代の先進安全運転支援システム(ADAS)開発にも触れた。運転操作をシステムが主体的に担う。「運転者が知らない道を経由して目的地まで移動するにも安心で、運転の負担を軽減できる」とした。米国の公道で新ADAS搭載車の走行試験を進めていて、2027年ごろからBEV、HEVに採用する計画。

二輪車では、「EV OUTLIER(アウトライヤー) Concept」が展示された。前後輪にインホイールモーターを採用し、「ダイナミックでロープロポーションなスタイルを実現」(プレスリリースより)。2030年以降を見据えて「電動化を通じた二輪車の新しいあり方」を提案した。


海のモビリティは2024年に発売した350馬力の大型船外機「BF350」と、「Concept Boat 1/5スケールモデル」が紹介された。小型ビジネスジェット機は、実物大のモックアップ内に乗り込める展示方法に来場者の注目が集まった。


宇宙に広がる研究領域、ホンダの総合力

「サステナブルロケット」はその名の通り、再生可能燃料で動き、再使用型ロケットと定義されるもの。ホンダは2025年6月、北海道で高度300メートルまでロケットを打ち上げ、着陸させる実験に成功しており、実験機をそのまま展示した。実験機は全長630センチ、直径85センチという。ホンダは2021年より宇宙領域の製品開発に取り組んでおり、北海道に専用設備を設けてサステナブルロケットを研究している。何度も使えるロケットで人工衛星を打ち上げ、需要が増すデータ活用に貢献する考え。自社の既存商品、モビリティの通信にも役立つと見込む。
※再使用型ロケット(Reusable Launch Vehicle、RLV)とは、使い捨てが主流である従来のロケット(Expendable Launch Vehicle、ELV)とは異なり、同一の機体を用いた短時間での繰り返し運用ができるロケット。垂直姿勢で打ち上げられた後、高度百キロメートル程度まで到達した後に垂直姿勢を保ったまま着陸する。(プレスリリースより)

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三部社長はロケットについて「自動運転や航空機開発で培った技術の総合力、現場で粘り強く挑戦を続けてきた従業員の成果。どんな困難もあきらめず乗り越える」と説明。陸・海・空・宇宙のモビリティで「未来を切り開き、他にない価値を生み出すことを目指し、挑戦を続けている」と結んだ。

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