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日本総合研究所 地域連載企画 地域社会の「新しい足」自動走行移動サービスの創出(前編)

2017/11/15(水)


交通事業者としてのサービス提供が妥当

 

六甲産業 代表取締役社長 盛岡氏


地域の移動手段を提供することを目的に、EVや超小型モビリティを活用したカーシェアリング事業を立ち上げました。将来的に完全自動走行が実現することを見据えてのことですが、六甲山での事業や三宮での超小型モビリティの乗り捨て型カーシェアリング事業などのサービス実証を経て、自動走行技術がないとなかなかカーシェアリングの利用が増えることは難しいと感じるようになりました。

そのような中、今回の実証はまさしく次の事業展開のヒントとなりました。自動走行については、交通事業者が移動サービスとして提供するものと、カーシェアリング事業者が自動走行技術を要した車両を提供するものとでは異なることが明らかになったからです。

また、カーシェアリングの利便性を高めるには、無人で動く車両が運転希望者のもとに移動したり、移動を終えた降車後には所定の場所に戻ったりすることが必要ですが、公道を無人で走行することは、国際条約であるジュネーブ条約(※1)の関係で現時点での実現は困難であることも分かりました。

(※1)自動運転の車両を公道で走らせる場合の国際的な指針を示した   ジュネーブ条約
結局、自動走行に関する現在の法律や技術の動向から、カーシェアリングよりも交通事業者からの交通サービスの提供が妥当と考えるようになりました。地域密着の自動走行サービスは、交通事業者としてのスタンスで進める必要があると思います。

 

観光地で期待する自動走行

 

有馬自働車 取締役 田中氏


インバウンドへの対応を考えると、観光地における自動走行の導入には、回遊性を高めるために大きく期待しています。小型で低速という条件も狭い路地が多い観光地と相性がよく、有馬温泉では既にレンタカーとして検討を進めています。

ただし、乗る場所までの移動や車両を手配する点が利用上の課題となっており、このあたりの解決方法を探るために、有馬で展開しているレンタカー車両であるlike-T3を提供した次第です。観光地には、筑紫が丘地域の特徴の一つである「袋小路」が数多く存在しますので、今回の実証結果はいい参考となるはずです。
 

利用者や交通事業者の生の声とともに

自動走行は新しい交通サービスを実現させるための重要な技術です。技術を実際のサービスとして生かすためには、利用者や交通事業者の生の声を聞きながら検討を進めていくことが不可欠です。自動走行に関わるできるだけ多くの方々にこのような声を届け、社会に欠かせない自動走行サービスの実現を推進することが日本総研のミッションと考えています。

次回は、利用者のアンケート結果を集計し、報告します。

後編へのリンク
https://ligare.news/story/jri-social-mobility-2/
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