国交省が「交通空白解消」本部設立、全自治体にライドシェアなど導入
2024/7/18(木)
国土交通省は7月17日、「交通空白」解消本部を設立し、都内で第1回の会議を行った。全ての自治体でタクシーやライドシェア、乗合タクシー、オンデマンド交通(以下、「タクシー等」と総称)を導入する。地域の実情に合わせて、長時間待つことなく交通手段を利用できるようにすることで「地域の足」「観光の足」の交通空白を解消することが狙い。全国の実情を調査し、2024年9月と12月めどに方策を示す異例の早さで取り組むという。
「地域の足」の現状では、「日本版ライドシェア」「公共ライドシェア」(自家用有償旅客運送)導入を全国約1700自治体のうち約1100で実施または実施に向けて準備中とした。残る約600の自治体でタクシー等の導入を支援する。
また、日本版ライドシェアの拡充を図る。1時間5ミリ以上の降水が予想される時間帯や大規模イベント時のライドシェア車両供給拡大など、24年9月をめどにとりまとめる。また、新たなダイナミックプライシングなど運賃・料金の多様化、タクシー以外のバス、鉄道など運送事業者の参入促進について12月めどに取りまとめる。
「観光の足」については、訪日客が増加し、地方分散を推進する中で地方の主要駅や空港といった交通結節点から目的地までの二次交通確保が課題になっているとした。約700の交通結節点でタクシー等を長時間待つことなく利用可能にすることを目指す。タクシー等の供給を増やしたり、二次交通の事前予約をしやすくしたり、結節点での二次交通の周知強化など図る。
9月までに、特に解決の必要性が高い交通結節点・自治体で、12月にその他の結節点・自治体で方策が準備または実施されている状態を目指す。
解消本部の本部長を務める斉藤鉄夫国交相は「昨年来ライドシェアをめぐる議論が展開されているが、問題の本質は地域住民や観光客がタクシーなどの移動手段を利用できない状態をいかに解消できるか。移動手段を確保できない地域住民の日常生活に不便が生じている現状はただちに改善しなければならない。全国の自治体・主要結節点の交通空白の解消に向けて9月・12月という短期間の区切りを設けて取り組みを強力に進める。国交省の総力を挙げて一気呵成に交通空白の解消に向けて努力していきたいと思う」と訓示した。
解消本部は国土交通大臣が本部長を務め、物流・自動車局長、航空局長、観光庁長官、各地の地方運輸局長などを本部員とする。
(図表の出典は全て国交省資料)