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産総研、生産性の持続的向上と人の負担軽減を両立するデジタルツイン開発

2023/2/1(水)

国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)は、生産性の持続的向上と人の負担軽減を両立するデジタルツインを開発した。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が1月31日付のプレスリリースで明かしている。

日本は、世界の中で最も急速に少子高齢化が進む国の一つとされており、総務省情報通信白書「我が国の労働力人口における課題」によると、今後長期にわたり生産年齢人口の減少が継続する見通しだ。生産現場では、若年労働者や熟練労働者の確保がますます困難になる一方、あらゆる作業を完全に自動化することも課題が多く、実現には至っていない。そのため、作業経験の乏しい人や障がいのある人など、多様な人々の就労により生産性を持続していく社会の到来が予想される。

このような背景から、多様性を包摂しつつ、どのように生産性を持続的に向上していくかという課題を抱えている。同時に、新たな就労モデルの提唱が求められている。

同技術では、仮想空間に現実世界で観測した人とロボットが同じ環境で作業をする状態を反映し、作業者の全身の動きや身体負荷、人とロボットの安全状態をリアルタイムで分析する。これにより、ロボットが人の作業負荷を理解する。さらに、同技術を活用したサイバーフィジカルシステム※ により、安全かつ効率的な生産を人とロボットが協調して行うことが可能だ。

※ デジタルツインをはじめとした技術を活用し、実世界にある多様な情報を収集して仮想空間上に取り込み、分析する。 この分析で得られた新たな知見を実世界にフィードバックすることで、実世界にあるさまざまな課題の解決を図る一連のシステムのこと。

また、産総研は、トヨタ自動車株式会社の協力の下、模擬生産工場(産総研臨海副都心センター)で部品供給作業の実証試験を行った。この実証では、従来に比べて、生産性が最大15%向上し、人の負担は約10%軽減することを確認している。

さらに、産総研は、今後幅広い実用化に向けて、センサー系の簡素化による低コスト化や協働ロボットの作業能力の向上、安全規格認証を進める。そして、これらの取り組みにより、生産年齢人口の減少が世界の中でも急速に進む日本から、労働力不足に対応する新たな就労モデルの発信を目指すと述べている。なお、実証の詳細等は以下で公開されている。

https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101606.html



(出典:NEDO Webサイトより)

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