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NEDOら、AIの渋滞予測を活用した公道での信号制御の実証実験成功

2022/4/27(水)

AIによる渋滞状況の予測

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、岡山県警察本部の協力のもと、岡山市内2カ所の交差点でAIによる渋滞予測を活用して信号を制御する実証実験に成功した。4月25日付のプレスリリースで明かしている。
現在日本国内に設置されている多くの信号機では、道路上の車両検知センサーが計測した交通量と渋滞長に基づいて各交通管制センターから最適な青信号の時間を制御している。特に、渋滞長を計測するためには交差点流入路に沿って数百メートルごとに渋滞計測用車両検知センサーを設置することが必要であり、その高い運用コストが課題となっている。

一方、車両検知センサーに代わる新しい交通情報源として車両から直接収集される走行軌跡情報(プローブ情報)が注目されている。しかし、交通管制センターにプローブ情報が収集されるまでに遅れが生じるという課題がある。原因は、対象車両が限定されているためにデータが収集できない時間帯がある、車両からの情報送信周期や収集センターでの集計処理にかかる時間などだ。

NEDOは、一般社団法人UTMS協会(以下、UTMS協会)、住友電気工業株式会社(以下、住友電工)と共に、これらの課題を解決するために、「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」を目指している。この中で、AI技術を活用して融合させたプローブ情報とセンサー情報に基づいて、信号制御の高度化を図る研究開発に取り組んでいる。今回の実証実験は、これらの取り組みの一環として、岡山市の国清寺交差点および妹尾西交差点にて実施したものだ。

具体的には、岡山県警察本部交通管制センターに導入したAIに、過去の交通量や周辺環境情報などの時空間情報とプローブ情報で得られた旅行時間(渋滞状況)の相関関係を学習させた。次に、このAIに、交通量計測用車両検知センサーで取得した交通量から渋滞長を推定させている。また、交通管制センターの交通情報処理部では、渋滞計測用車両検知センサーで計測された渋滞情報を使用せず、AIが推定した渋滞情報を活用した。そして、信号制御処理部に情報を送ることで2カ所の交差点で信号機の最適な制御を行うという流れだ。

同実証実験の結果、既存の車両検知センサーを半減しても従来と比較して渋滞状況に変化はなく、信号制御の性能を維持できることが確認できた。このことから、車両検知センサーの削減によりインフラコストを低減できるとともに、渋滞計測用車両検知センサーが少ない交差点でも適切な信号制御が可能になるなど、交通渋滞の減少に伴う低炭素社会実現への貢献が期待される。

なお、3者は、全国の交通管制システムへのAI技術導入に貢献するため、今回の研究成果に基づき標準仕様案の検討を進めていくという。さらに、NEDOは、「AIを組み込んだ適応型の自律・分散交通信号機」により、研究開発次世代の交通管制システムの技術確立を目指す。UTMS協会と住友電工は、今回のAIによる渋滞長の推定を自律・分散交通信号機の入力情報として活用する検討を進めていくと述べている。


(出典:NEDO Webサイトより)

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