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大阪ガスと大林組、建設工事向けAI気象予測サービス開発に着手

2023/5/25(木)

取り組みの全体像

大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)と株式会社大林組(以下、大林組)は5月17日、安全で効率的な施工管理を支援する「建設工事向けAI気象予測サービス」の開発に共同で着手した。

両社は、2022年5月から共同で、気象が建設工事に与える影響および建設現場での気象予測ニーズに関する調査を開始した。同時に、2025年大阪・関西万博の開催予定地である夢洲(ゆめしま)エリアを対象とし、過去の気象観測データを用い、予測の精度を評価してきた。その結果、建設現場で求められる気象情報の仕様、および夢洲エリアの気象傾向をAIに学習させることで予測精度を高められる可能性があることなどを確認している。

さらに、2022年12月に気象業務法が改正され、一定の条件を満たせば、気象予報士を介さずにコンピュータが自動で生成した気象予測情報を提供できるようになった。このため、大阪ガスも従来より高頻度で予測情報の提供が可能になっている。

「建設工事向けAI気象予測サービス」の具体的な取り組みは、「高精度でタイムリーなAI気象予測サービスの開発」、「建設工事向け気象サービスの開発」、「効果的な伝達手段の検討」だ。「高精度でタイムリーなAI気象予測サービスの開発」では、大阪ガス独自の気象予測と、現地の気象観測データを学習したAIを組み合わせた高精度なピンポイント気象予測情報を気象予報士を介さず迅速に提供する。

また、「建設工事向け気象サービスの開発」では、建設現場における各種作業に応じて、必要な気象情報を適切なリードタイムで活用しやすく加工して提供する。例えば、労働安全衛生法の規定に基づくクレーン等安全規則では、クレーン作業を中止しなければならない風速条件が定められている。このため、数日前に一定時間ごとの平均風速予測の情報を「クレーン作業指数」として提供することで、事前の工程変更の判断が容易になる。

さらに、「効果的な伝達手段の検討」では、「高精度でタイムリーなAI気象予測サービスの開発」、「建設工事向け気象サービスの開発」の情報を必要な相手に効果的な手段で提供する方法を検討する。例えば、施工管理の支援情報は施工管理者が利用するチャットツールに通知し、作業関連の注意案内は朝礼広場のデジタルサイネージで作業員へ周知するなど、目的にあった伝達手段とその効果を検討するという。

なお、両社は、今後夢洲エリアの建設現場において、「建設工事向けAI気象予測サービス」の実証実験を段階的に進め、実測の現地観測データとの比較や利用者へのヒアリングを通じて、有用性の評価を行う。また、得られた成果を他の建設工事にも広く展開・活用し、建設工事の生産性と安全性の向上に貢献していくという。

くわえて、両社は、「大阪府・大阪市スーパーシティ構想」に掲げられている「夢洲コンストラクション」および、万博期間中・終了後のさまざまなデータ連携を目指した「夢洲プラットフォーム」においても、気象予測の活用について検討していくと述べている。

高精度な気象予測
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(出典:大阪ガス Webサイトより)

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