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パナソニック 自動運転の技術開発強化 コネクテッドカー向けセキュリティも注力-デジタルAV技術の活用で

2017/12/25(月)

パナソニック株式会社(以下、パナソニック)は10月10日、横浜市にある車両試験場で同社の自動運転技術を搭載した2人乗りのEVコミューターを走らせ、新技術を披露した。コネクテッドカー向けの車載セキュリティや画像解析技術、ソナー技術なども紹介した。
[LIGARE vol.36 (2017.11.30発行) より記事を再構成]
※本記事中に使用する資料は、パナソニック提供の資料より引用

家電技術をコアにした非連続な進化を起こす

同日、オートモーティブ事業の開発体制と取り組みについての説明会も行われた。オートモーティブ開発本部の水山正重氏(以下、水山氏)は、「自前主義の脱却として、オープンイノーベーションの推進を図ってきた。オートモーティブ開発本部は、非連続な技術、新しい事業を目指していく。今後は顧客に対しての製法技術の提案や、フィードバックを受け技術開発で返していく」と述べ、開発体制の強化として、OEMと共にデジタル家電技術をコアにして非連続な進化を起こしていくことを目標に掲げた。「コネクティッドカー」「ADAS・自動運転」「電動化」と市場が大きく変化していく中で、同社は車載事業の売り上げ目標を2018年度の2兆円から2021年度には2.5兆円に引き上げる。自動車部品メーカーのトップ10入りを目指すという。
オートモーティブ開発本部の傘下にある事業部はカーメーカーなどの顧客と直接対峙すると同時に、オートモーティブ開発本部自体も商品開発の支援に協力していくという。この横串を通した協力体制により、OEMへ先行開発・ソリューションを直接提案していく。また、社内技術部門、社外の研究機関、学術研究機関等とも随時、連携体制を取る。

人を中心とした統合的な次世代コックピットシステム

今後の重点的な取組み分野として水山氏は「IVI・コックピット、ADAS、またはその融合としてのコックピット×ADAS、電動化」の4つを挙げた。また、次世代コックピットシステムのイメージについて、「メーターもディスプレイになり、電子ミラーやサイドミラーも普通の鏡からディスプレイに変わる。ディスプレイに変えた付加価値として、バックエンドにデジタル処理を施して、さまざまな危険や人間の目に対する見やすさを改善しクルマの安全・快適を実現することが我々のビジョンである」と述べた。
コックピットシステム開発のベースとなる技術として、テレビの画像処理の技術、モバイルの通信技術、ディスプレイパネルの差別化技術、ソフトウェアPF、セキュリティやクラウドなどを総動員。コックピットのユニットや全体をつなぐソリューションなどを提供しながら統合的なコックピットシステムを実現していくという。水山氏によると「当社はエアコン、つまり空調に関する技術も持ち合わせているが、これからEVになると、電池容量の30パーセン程度が空調に使われるということになる。空調エネルギーを効率化しながら、快適な空間を作り出すことが求められている」。人の研究や人体のモデル化、センシング実験を行いながら、快適で効率的な空調技術に取り組んでいくという。他にも、ドライバーの状態をモニタリングして認識しながら、最適な情報提供するなど、人を中心とした統合コックピットシステムが目指されている。

車載機器向けのOSについて、LinuxではAutomotive Grade Linux(AGL)、AndroidではOpen Automotive Alliance(OAA)にそれぞれ車メーカーが加盟し、標準化が進む中で同社がリーダーシップをとって取り組んでいることを強調した。ソフトウェア開発体制の強化について、昨年度Open Synergy社というドイツの会社を買収し、次世代コックピット実現に向けた開発体制を強化している。水山氏は「Open Synergy社はHypervisorという基本ソフトウェアを担当している。このシステムのメリットは、ECUの中の機能安全を問われるシステムと、より早いコンシューマーの進化を問われるシステムのそれぞれに適したOSを搭載して、ひとつのシステム上で複数のOSを動かすための技術である。この技術により、コックピットの中のディスプレイにさまざまなシステムを混載できるようになっている」と語る。

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