ニュース

佐川急便、建設現場の資材管理をDXで効率化 物流ノウハウ活かし新システム開発

2025/11/4(火)

佐川急便とSGシステムは、新菱冷熱工業と連携し、建設現場における資材管理を効率化する新たな業務システムを開発した。物流で培ったジャストインタイム(JIT)輸送のノウハウと、AIを活用したデジタル管理を組み合わせ、資材の発注から現場搬入までを一気通貫で管理。建設業界の「2024年問題」や労働力不足といった課題解決に貢献する。

建設業界では、時間外労働の上限規制適用に伴う労働力不足が深刻化しており、現場作業の効率化が急務となっている。特に資材管理の領域では、各サプライヤー間の資材発注や検品、在庫管理などでアナログな作業が多く残っており、DXの遅れが課題であった。

この課題に対し、佐川急便とSGシステムは、総合物流企業としての知見を活かしたソリューションを開発。建設現場の近くに資材を一時保管する「門前倉庫」を設置し、そこから現場へ必要な資材を必要な時に必要な量だけ搬入するジャストインタイム(JIT)輸送体制を構築した。これにより、現場内での仮置きや仕分けといった非効率な作業工数を大幅に削減できる。

このJIT輸送を支えるのが、新たに開発された資材管理システムだ。建設現場特有の課題として、サプライヤーごとに資材ラベルの規格がバラバラで、従来のハンディターミナルでは一括検品が困難だった。新システムでは、エッジAIの文字認識技術を活用し、規格の異なるラベルでも読み取ってデータ化。そのデータに設置場所などの情報を紐づけ、統一規格の二次元コード付きラベルを新たに発行・貼付することで、資材を一元管理できるようにした。

このシステムにより、資材の発注状況から倉庫への入出荷、在庫、現場への搬入まで、全てのステータスがデジタルで可視化される。現場監督者もリアルタイムで情報を把握でき、施工の進捗に合わせた柔軟な資材手配が可能となる。また、新菱冷熱工業が推進するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データとの連携も可能で、設計から調達、施工までを一体的に管理する基盤となる。

佐川急便とSGシステムは、この新菱冷熱工業での取り組みをモデルケースとし、将来的には他の建設現場や、同様の課題を抱える他業種にも展開できる汎用性の高いシステムへと発展させていく考えだ。



get_the_ID : 248802
has_post_thumbnail(get_the_ID()) : 1

ログイン

自動運転特集

ページ上部へ戻る