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福井県坂井市、自動運転実証「イータク プラス」開始 既存オンデマンド交通と連携

2025/10/21(火)

福井県坂井市は、既存の予約制乗り合いタクシー「イータク」を自動運転化する実証事業「イータクプラス」を10月15日から開始した。ソフトバンクとトヨタ自動車の合弁会社「MONET Technologies(モネ テクノロジー」などと連携し、市内の春江市街地約2.5kmの区間をミニバン型の自動運転車両(レベル2)で運行。利用者の多い既存サービスと連携させることで、社会受容性を検証し、2027年度の一部レベル4実現を目指す。

坂井市では、2023年からオンデマンド型の予約制乗り合いタクシー「イータク」を運行しており、年間延べ3万人以上が利用するなど、地域の足として定着している。今回の実証は、この「イータク」の増車対応や、全国的な課題である公共交通の運転手不足を解消するため、自動運転技術の導入可能性を探るものだ。

実証の舞台となるのは、市内でも特に「イータク」の利用者が多い春江町の市街地。市役所春江庁舎から春江病院までの片道約2.5kmの区間を、MONET Technologiesが提供するミニバンベースの自動運転車両(乗客定員5名)が走行する。運行は地元のケイカン交通が担う。

実証は、運転手が乗車し、いつでも手動介入が可能な「レベル2」で実施される。車両はセンサーで周囲の状況を認識しながら、最高時速48kmで自動走行するが、交通量の多い交差点での車線変更や路上駐車車両の回避など、限定的な場面では運転手が手動で操作する。

全国的にも事例が少ないミニバン型の車両を使用することで、地域の交通環境との親和性を検証。また、利用者は既存の「イータク」のアプリから通常通り予約できるため、新たなアプリのインストールなどが不要で、シームレスに自動運転サービスを体験できる点が大きな特徴だ。

運行は11月29日までの期間限定で、期間中は市民が無料で乗車できる。坂井市は、この期間に多くの市民から意見や感想を募り、社会受容性や運行コストなどを検証する。

10月7日に行われた出発式で、池田禎孝市長は「このタイプの自動運転実証を新たなモデルとして全国に発信していきたい」と意気込みを語った。市は今後、実証を重ねてデータを蓄積し、2027年度には一部区間でのレベル4(特定条件下での完全自動運転)の実現を目指すとしている。

「イータク プラス」の文字がラッピングされた自動運転車



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