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環境省「脱炭素イノベーションへの挑戦」―LIGAREビジネスセミナー(10月12日開催)―(2/3)

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2018/12/5(水)

10月12日、都内で「トヨタの小型EVへの取り組み 環境省・国交省のEV関連施策」と題し、LIGAREビジネスセミナーを開催した。登壇者には、国土交通省 自動車局環境政策課 課長補佐 東海太郎氏をはじめ、環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 併任 水・大気環境局 自動車環境対策課 課長補佐 井上有希子氏と、トヨタ自動車株式会社 先進技術開発カンパニー 先行開発推進部 EV事業企画室 主査 谷中壯弘氏の3名を迎えた。2020年を見据え、国内では小型EVの安全対策に関する検討やEVやMaaSなどに関連した支援策が国土交通省や環境省をはじめ関係省庁でも検討され始めている。その最新動向や、2019年度から始まる小型モビリティによる地域交通の支援策、スマートシティへの取り組みなどについて議論した。
本記事では、セミナーの模様を3回にわたりレポートする(本記事は第2回目)。

「脱炭素イノベーションへの挑戦~目の前のリスクをチャンスに変える、発想の転換で未来を築く~」
環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 併任 水・大気環境局 自動車環境対策課 課長補佐 井上有希子氏

環境省においても、先に挙げた2050年までにCO2を80%削減する長期目標に向け、今後必要な政策について議論を重ねている。井上氏は「今まさに具体的な取り組みを開始しなければ間に合わない」という強い危機意識を示した。

環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 併任 水・大気環境局 自動車環境対策課 課長補佐 井上有希子氏


脱炭素社会の構築に向け、若手有志が政策提言を

昨年夏以降、環境省では部局の枠を超え、若手有志メンバーたちが自由かつ大胆な発想で今後の政策について議論を重ねてきたという。今年の7月には政策提言を取りまとめ、中川雅治環境大臣(当時)へと手渡した。提言では特に三つのアプローチに注目し政策を検討している。一つは、「脱炭素」×「社会インフラ」。人口減少などの社会課題に対応しながら脱炭素社会を実現するためには、「社会インフラ」の抜本的なイノベーションを早期に起こすことが不可欠だ。次に、「脱炭素」×「新技術」。AI、IoT、ビッグデータ、5G、ブロックチェーン等の新技術を活用し、再生可能エネルギーを社会に浸透させていくアプローチが必要になる。最後は、前述の二つを踏まえた、「脱炭素」×(「社会インフラ」+「新技術」)=「脱炭素ビジネス」だ。脱炭素社会を構築するためには、一過性の取り組みで終わらせるのではなく、持続可能なモデルにしていくことが不可欠になる。そのため、経済性も兼ね備え、地域活性化やグローバル展開を視野にいれた「ビジネス」へのイノベーションが必要だと、政策提言では示されている。

鍵は「EV=蓄電池」?

現在、日本が抱える環境・経済・社会の課題は相互に関連し複雑化している現状だ。井上氏は2018年6月の未来投資会議で語られた安倍総理の発言を引用し、「環境と成長の好循環というパラダイム転換の必要性が指摘された」と説く。2050年というターゲットに向け、「地域循環共生圏」の実現により新たな成長を生み出す新たな社会像を目指すべき姿として提示した。核となるのが、「自立分散型の『エネルギー』システム」、「人に優しく魅力ある『交通・移動』システム」、「健康で自然とつながりを感じる『オーガニック・ライフスタイル』」だと語った。


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