シンプル・イズ・ザ・ベスト プラットフォーマーへの挑戦 ─ 株式会社SPOT
2017/11/13(月)
「空いているコインパーキングを探してうろうろ」なんて経験はないでしょうか。ビジネスパーソン、特に外回りをされている方はうんうんとうなずかれるかもしれません。
株式会社SPOTが手がけるスマホアプリ「Smart Park」は、駐車場が空いているか、それとも満車なのかを瞬時に検索することができるアプリです。
4万5000カ所の駐車場情報と、そのうち1万3000カ所の満空情報を提供しています(2016年11月取材当時)。設立は2014年4月。創業わずか2年の会社が、なぜ業界のプラットフォーマーとして名乗りを上げるまでになったのでしょうか。同社COO花房寛氏へのインタビューから、その秘密に迫ります。
[LIGARE vol.30 (2016.11.30発行) より記事を再構成]
こうした情報をもとに、アプリでは現在地や目的地を基準に、周辺の駐車場を安さの順に表示することができます。こうした料金比較検索の機能によって、奥まった場所にある駐車場も見つけてもらいやすくなるため、価格を無理に下げる必要は無くなります。これは価格の適正化につながります。将来的には、需給バランスを見て価格を流動的に変更するような、ダイナミック・プライシングの仕組みができればいいなと思っています。
また、向かっている途中に満車になった場合は知らせてくれる機能もついています。満空情報の更新速度は遅くても5分以内、早ければ15~20秒程度で切り替わるので「空いていると思って駐車場に行ったら満車だった」という事態にはほとんどなりません。
こうした情報は、駐車場事業者からの提供だけでなく、当社独自の満空検知ハードウェアからも集めています。このハードウェアを既存の駐車場に展開し、すでに約1000カ所に設置しています。来年3月までにはさらに5000カ所増やして6000カ所に広げていく予定です。
また、駐車場業界においてプラットフォーマーが存在しないことも理由の一つです。時間貸し駐車場の企業別のマーケットシェアを見てみると、大手10社をあわせても過半に満たないことが見て取れます(図2)。これは意外でした。思ったより寡占化が進んでいないのです。
実は満空情報の取得自体は大手上位各社ですでに取り組まれています。しかし、先述の通り、駐車場全体に対し、大手上位であってもそのパイは必ずしも多くありません。
駐車場ユーザーからしてみれば特定の会社の駐車場に止めたいというニーズはあまりなく、むしろ目的地からの近さや安さといったことを重視するでしょう。なので、特定の駐車場事業者の満空情報だけでは、ユーザーの利便性という面では不十分です。
実際、時間貸し駐車場のユーザーに聞いたコインパーキングへの不満についてのアンケートでは、「駐車料金の高さ」に次いで「空いているかどうか行かないと分からない」がランクインしています(図3)。それに関連した「空いていないことが多い」や、「料金表示が分かりにくい」などもユーザーの抱える悩みのようです。
空いている駐車場を探して目的地周りをぐるぐる回ってしまう、というのは特に都市部で顕著なようで、たとえば東京では、空き駐車場がすぐに見つからない状態を3人に1人が月に1回以上経験しています。
こうした現状に対する問題意識と、そこをうまく埋めることでビジネスチャンスにつなげられると考えたことが、この業界での事業立ち上げの理由です。また、松村(株式会社SPOT 代表取締役社長・松村方生氏)が、2005年に共同創業した株式会社フィル・カンパニー(注)にて都心のコインパーキングの「空中」を活用する空中店舗事業を立ち上げた経緯もあり、業界知見に富んでいたという背景もあります。
(注)株式会社フィル・カンパニー:土地を駐車場として利活用する上で空白地となっていた上部空間に、空中店舗を建築することで、空間の有効利用を促している。企画・設計・建築からテナント誘致、建物管理までワンストップで手がけている。
株式会社SPOTが手がけるスマホアプリ「Smart Park」は、駐車場が空いているか、それとも満車なのかを瞬時に検索することができるアプリです。
4万5000カ所の駐車場情報と、そのうち1万3000カ所の満空情報を提供しています(2016年11月取材当時)。設立は2014年4月。創業わずか2年の会社が、なぜ業界のプラットフォーマーとして名乗りを上げるまでになったのでしょうか。同社COO花房寛氏へのインタビューから、その秘密に迫ります。
[LIGARE vol.30 (2016.11.30発行) より記事を再構成]
––––Smart Parkの特徴は?
Smart Parkは、満空情報を含めた駐車場情報を包括的に提供するスマホアプリです。全国に7万カ所あるといわれる駐車場のうち、4万5000カ所の位置情報・料金体系などを網羅しており、さらに約1万3000カ所は満空情報まで取得することができます。こうした情報をもとに、アプリでは現在地や目的地を基準に、周辺の駐車場を安さの順に表示することができます。こうした料金比較検索の機能によって、奥まった場所にある駐車場も見つけてもらいやすくなるため、価格を無理に下げる必要は無くなります。これは価格の適正化につながります。将来的には、需給バランスを見て価格を流動的に変更するような、ダイナミック・プライシングの仕組みができればいいなと思っています。
また、向かっている途中に満車になった場合は知らせてくれる機能もついています。満空情報の更新速度は遅くても5分以内、早ければ15~20秒程度で切り替わるので「空いていると思って駐車場に行ったら満車だった」という事態にはほとんどなりません。
こうした情報は、駐車場事業者からの提供だけでなく、当社独自の満空検知ハードウェアからも集めています。このハードウェアを既存の駐車場に展開し、すでに約1000カ所に設置しています。来年3月までにはさらに5000カ所増やして6000カ所に広げていく予定です。
––––駐車場業界に着目した理由は?
まずは、そのマーケットの大きさです。駐車場全体の市場規模は国内だけで3.5兆円~5兆円と言われ、世界全体では10兆円以上に上ると言われています。その中でも、私たちがターゲットとする時間貸し駐車場の市場規模は1兆円に達し、駐車場件数や車室台数も年々増え続けています。この傾向は特に小規模な時間貸し駐車場で顕著に見られます(図1)。また、駐車場業界においてプラットフォーマーが存在しないことも理由の一つです。時間貸し駐車場の企業別のマーケットシェアを見てみると、大手10社をあわせても過半に満たないことが見て取れます(図2)。これは意外でした。思ったより寡占化が進んでいないのです。
実は満空情報の取得自体は大手上位各社ですでに取り組まれています。しかし、先述の通り、駐車場全体に対し、大手上位であってもそのパイは必ずしも多くありません。
駐車場ユーザーからしてみれば特定の会社の駐車場に止めたいというニーズはあまりなく、むしろ目的地からの近さや安さといったことを重視するでしょう。なので、特定の駐車場事業者の満空情報だけでは、ユーザーの利便性という面では不十分です。
実際、時間貸し駐車場のユーザーに聞いたコインパーキングへの不満についてのアンケートでは、「駐車料金の高さ」に次いで「空いているかどうか行かないと分からない」がランクインしています(図3)。それに関連した「空いていないことが多い」や、「料金表示が分かりにくい」などもユーザーの抱える悩みのようです。
空いている駐車場を探して目的地周りをぐるぐる回ってしまう、というのは特に都市部で顕著なようで、たとえば東京では、空き駐車場がすぐに見つからない状態を3人に1人が月に1回以上経験しています。
こうした現状に対する問題意識と、そこをうまく埋めることでビジネスチャンスにつなげられると考えたことが、この業界での事業立ち上げの理由です。また、松村(株式会社SPOT 代表取締役社長・松村方生氏)が、2005年に共同創業した株式会社フィル・カンパニー(注)にて都心のコインパーキングの「空中」を活用する空中店舗事業を立ち上げた経緯もあり、業界知見に富んでいたという背景もあります。
(注)株式会社フィル・カンパニー:土地を駐車場として利活用する上で空白地となっていた上部空間に、空中店舗を建築することで、空間の有効利用を促している。企画・設計・建築からテナント誘致、建物管理までワンストップで手がけている。