ソフトバンクと双葉電子、産業向け国産ドローンを共同開発 高精度測位にも対応
2020/12/18(金)
ソフトバンク株式会社と双葉電子工業株式会社は、橋梁や鉄塔、建設現場などでの点検をはじめ、測量や災害支援などに活用できる産業向けドローンの共同開発を今年9月から開始。12月17日に機体のプロトタイプを発表した。
両社が共同開発するドローンは、双葉電子の産業用ドローンをベースに、LTE対応の通信モジュールを搭載しているほか、RTK測位※により誤差数センチメートルの測位ができる、ソフトバンクの高精度測位サービス「ichimill」に対応している。LTEの利用により、ドローンを遠隔地から飛行制御できるほか、撮影した画像や映像をリアルタイムに送信することが可能だ。また、「ichimill」を活用することで、誤差数センチメートルの精度で飛行制御でき、空撮した画像の位置情報も高精度化できる。※ RTK(Real Time Kinematic)測位とは、固定局と移動局の二つの受信機を利用し、リアルタイムに2点間で情報をやりとりすることで、高精度な測位を可能にする手法のこと。
近年、空撮を利用した点検作業の効率化や、人の目が届きにくい高所作業の代替をはじめ、多くの産業でドローンの活用ニーズが高まっている。この状況を背景に、ソフトバンクは自動飛行や自動撮影などに対応したドローンサービス「SoraSolution(ソラソリューション)」を昨年10月から提供しており、今後はさびの検知や差分検知など、AIを活用したデータ解析機能の実装を予定している。また、双葉電子は、カスタマイズ性と耐風性に優れた全天候型の産業用ドローンを提供している。鉄道や電力をはじめとするインフラ業界や鉄鋼業界からは、情報管理などの観点から国産ドローンを導入したいという要望が寄せられているという。そこでソフトバンクと双葉電子は、両社の技術やノウハウを活用した国産の産業向けドローンの共同開発を開始し、まずプロトタイプを製作した。
今後両社は、ドローンの機能改良を進めるために、2020年度から21年度にかけて実証実験を行い、ソフトバンクの法人向けドローンサービス「SoraSolution」のサービスラインアップに追加する予定だ。また、機体側でAIによる解析を行うことで、GPSなどの測位衛星の信号が届かない環境でも完全自動飛行ができるドローンの実現や、5Gの実装も視野に入れて研究開発を進めていく。