ソニーのクルマづくり CASE時代にできること【VISION-S 開発者インタビュー】
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2020/3/18(水)
ソニー株式会社(以下、ソニー)は2020年1月に開催したCES2020で、試作EV「VISION-S」を発表した。そのデザインや性能についてはもちろんだが、「ソニーがクルマをつくった」という事実そのものが注目を集めた。果たしてどのような狙いで、どのような未来を描いてクルマづくりに取り組んだのか。VISION-Sの開発を担当したソニーのAIロボティクスビジネスグループ 事業企画管理部 統括部長を務める矢部雄平氏に話を伺った。
■VISION-Sとはどんなクルマ?
今や自動車業界にとっても一大イベントに成長したCES。新年を迎えたばかりのラスベガスの地で業界内外に大きな衝撃を与えたのが、ソニーの発表した電気自動車「VISION-S(ビジョンエス)」だ。内燃機関を用いない、いわゆるピュアEVである VISION-S は、コンパクトで自由度の高いパワートレインレイアウトと薄型バッテリーの開発によって、上質な車室空間が提供できる点をアピールした。
また、ソニーがもとより得意とするセンサー技術を生かし自動運転レベル2+※相当の機能を搭載。CMOSイメージセンサーやToFセンサーなど数種類を組み合わせることで、周囲360度の人・物体を高精度で検知・認識し、自動走行、自動パーキング、自動車線変更などの機能へと活用するという。
※自動車線変更など高度運転支援の組み合わせで行う特定条件下での自動運転機能がレベル2に相当する。それらに条件付きでのハンズフリー運転など、さらに機能を高めたもの。半導体メーカーのNVIDIAが提唱した概念とされている。
さらに、車内ではソニーの最新オーディオ技術「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」を、各シートに内蔵したスピーカーで提供する。フロントシート前方にはワイド液晶パネル「パノラミックスクリーン」を搭載し、直観的操作で様々なコンテンツを楽しめる。そのほかにも、前述したイメージング・センシング技術をはじめ、AIや通信、そしてクラウド技術も活用した車載ソフトウェア制御により、機能が継続的にアップデートされ進化し続ける、コネクテッドカーとしての要素も兼ね備えているという。
このように今後のモビリティ社会で必要となる機能・サービスをくまなくカバーしている「VISION-S」。さらに試作車の制作には、Bosch(ボッシュ)、Continental(コンチネンタル)、Magna(マグナ)、Nvidia(エヌビディア)といったそうそうたるメーカーから協力を得ている。しかし、今のところ量産・市販の予定はないという。
それでは、一体ソニーは VISION-S で何を目的にし、何を成そうとしているのか。開発を担当した矢部氏へのインタビューから探っていきたい。
■VISION-Sの開発経緯
――VISION-S の開発はいつから始まったのか教えてください。構想から開発に2年弱、およそ20カ月くらいです。ちょうどaibo(アイボ)※の新モデル発売直後あたりからスタートしました。
※ソニーが開発するペット型ロボット
――開発には新規に部署を立ち上げたのではなく、AI・ロボティクスの専門部署が担当したのですね。この部署はどのようなミッションを掲げて取り組んでいるのでしょうか?
われわれはAI・ロボティクス関連の部署に属し、新規ビジネスを作っていくというのがミッションです。例を挙げると、アイボを始め、SC-1※や、タクシー向けのサービスなどがあります。AIやロボティクス分野は、もともと製造業であるソニーが重視して取り組んできた領域の一つです。
※ソニーとヤマハが共同開発した自動運転機能を備えるエンターテインメント車両
――プロジェクトは何名体制で行っているか教えてください。
人数は公表していませんが、メンバーの数は極めて少ないです。自動車メーカーだと1台クルマをつくのに数百名規模が動くと思いますが、それとは比べるまでもないほどの規模ですね。
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