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コネクティッド時代の通信を考える IoT通信プラットフォームのSORACOM(続編)

2017/11/30(木)

代表取締役社長 玉川 憲 氏

前回に引き続き、SORACOM(株式会社ソラコム)を紹介。

玉川憲・代表取締役社長へのインタビューから、その魅力に迫ります。

[LIGARE vol.29 (2016.9.30発行) より記事を再構成]


Interview

グローバルに着目した通信プラットフォームへ

IoT通信プラットフォームとして成長を続けるSORACOM。その立ち上げのきっかけと、モビリティの分野で今後どのように活用されていくのかを、代表取締役社長の玉川憲氏にお聞きしました。

 

─SORACOMをはじめたきっかけとは何だったのでしょうか。

以前はAWSで日本のデータセンターの立ち上げ前からずっとクラウド事業を行ってきました。クラウドが出る前は、何か事業を起こすときには大きな初期投資が必要でした。自分でサーバーを買わなければいけません。さらにハードウェアは古くなって買い換えなければなりません。運用がとても大変でした。

しかし、クラウドが出たことによって、その初期投資の部分が全てクラウドが引き受けてくれるようになりました。これはものすごく大きなインパクトだと思います。

クラウドが出て、特に私が印象的だと思う変化は、大企業の新規事業やスタートアップの企業です。新しいこと始めるときには、どれぐらい投資してどれぐらいで回収できるかを考えなければならず、判断も必要なので意思決定に時間がかかっていました。Time to Marketが長くなるので、競争力が落ちてしまいます。

そのような状況が、クラウドが出たことにより「とりあえずやってみよう」ということができるようになりました。すぐできて、なおかつスモールスタートができるようになったのです。

サーバーは小さいものから始めて必要に応じて増やすことができます。事業に失敗したらすぐ止めることもできます。このようにクラウドによって、新しいことを始めるときの失敗するコストがとても下がります。そうすれば、新しいことを始めようという正のスパイラルが回り始めます。

私は、誰でも使い始められて、すぐやめれるというオープンでフェアなプラットフォームのビジネスはすごく美しいし、社会に貢献できると思っています。これまでその思いでAWSビジネスをやってきました。

一方で、日本は特にITの世界では新しいテクノロジーに乗り遅れがちだといわれています。しかし、その中で、クラウドを使った通信プラットフォームを作れるのではないかという思いがあり、SORACOMのアイデアが出てきました。

IoTには総合的にいろいろな技術が必要になります。AWSによりインターネット側のサービスを立ち上げるのはすごい楽になりましたが、デバイス側や通信側に課題が山積しています。特に通信は規制産業であって、個人が欲しいといって簡単に手に入るものではありません。契約やコミットメントがあり大企業の中で通信を使うのも難しいものでした。

これに対して、オープンでフェアな通信プラットフォームをつくろうと思い、SORACOMをはじめました。

 


 

─SORACOMの特徴はどういったところにあるのでしょうか。

クラウド上でAirというサービスを行っていますが、大企業はセキュリティを気にしています。IoTでは、インターネット上のクラウドを使うのは今後当たり前のように増えていきます。クラウドがセキュアなものでも、通信にはインターネットを使っています。

SORACOMでは、セキュアにモバイル通信からクラウドにデータを流すサービスを行っています。閉域網のようなことができ、インターネットにつながらずにクラウドのパワーを使うことができます。具体的には、SIMカードを挿すことで通信でき、Web上で回線管理ができます。

 

写真は、7月13日に行われた「SORACOM Conference 2016 “Discovery”」のもの。
SORACOMに関連する最新の技術情報や活用事例などがカンファレンスにて紹介された



IoTでは、デバイスや端末が大量になり、管理が難しくなります。クルマで考えても、年間数百万台と出荷されているので、管理ツールが必要になります。SORACOMでは、SIMカードを停止したり解約したりスピードを変えたりできます。また、プログラムで制御できるため、自動化でき運用が簡単になります。

例えると、木材を売っているのに近いです。木材を組み合わせて椅子を作り、付加価値を付けて売っていただくという考え方です。例えば、ルーターを作っている会社なら、ルーターを売るだけでなく、SIMカードを入れて売っていただければ、売り切りではなく毎月1000円などの課金ビジネスに変えていくこともできます。ビジネスモデル自体を自由に作れるのです。これが、オープンでフェアなプラットフォームといっている理由です。

なぜこれができるのかと言われると、非常に大きなソフトウェア開発力を持っているという特徴があるからです。通常、通信を行おうとすると、基地局やデータセンター、専用機材などに投資しなければなりません。それを、基地局はお借りして、クラウド上でバーチャルキャリアを構築しているのがユニークなところです。

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