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地域のスーパーと買い物弱者をつなぐ「とくし丸」 目指すは、おばあちゃんのコンシェルジュ

2020/6/23(火)

商品を積んだ「とくし丸」のトラック

人口減少や高齢者世帯の増加に加え、大型スーパーの進出による地域のスーパー・食料品店の撤退、また運転免許の自主返納などを背景に、食料品購入が困難な人々の増加は、特に高齢者の間で近年の社会問題の一つとなっている。

徳島で生まれた「移動スーパーとくし丸」は、この「買い物弱者」「買い物難民」問題を軽トラックによる移動販売で解決しようとしている。

株式会社とくし丸の執行役員兼SV部部長の荒川伸太郎氏(以下、荒川氏)に「とくし丸」の取り組みについて話を伺った。

■創業のきっかけは母親の買い物の困りごと

2012年に始まった「移動スーパーとくし丸」は、現在、全国46都道府県で550台(6月17日時点)を展開している。残る1県の沖縄にも今夏の進出を予定している。

創業のきっかけは、創業者とその母親との何気ない会話だった。週末に母親を自身の車でスーパーまで連れて行くと、食品を大量に買い込む姿を見た。

驚いて「そんなに買って食べ切れるのか?」と尋ねると、母親は「次いつ行けるか分からないから」と答えた。その言葉で買い物弱者のニーズの高さに気付き、移動スーパー事業を始めるに至ったという。

「買い物に困っている方は全国にいて、そのニーズを全てカバーするには、移動販売車が4,000~5,000台は必要だと私たちは考えています。まずは全都道府県の隅々まで、このサービスを届けること。その後は、単なる食料品の販売ではなく生活の基盤、社会インフラの1つのような存在を目指していきます。」(荒川氏)

■パートナーは個人事業主という新しいビジネスモデル

とくし丸のビジネスモデルには、いくつか特徴がある。

一つ目はとくし丸本部が地域のスーパーと提携して商品を提供してもらい、そのスーパーと「販売パートナー」と呼ばれる個人事業主が契約して、販売代行するという形態を取っている点だ。

販売パートナーは自身が契約を結んだ地域のスーパーで生鮮食品や生活雑貨などの商品を自ら選定。とくし丸専用の軽トラックに積み込んで、各エリアを巡回して商品を販売する。トラックには約400品目、約1,200〜1,500点の商品を積むことができるという。

とくし丸本部はプロデューサーのような役割を担う。販売パートナーに対して、販売エリアでの顧客開拓やノウハウなどのサポートを行う。

スーパー側は人材や車両の確保をすることなく移動販売を任せることができる。一方、販売パートナー側は自身での仕入れ「ゼロ」で商品を販売し、夕方売れ残った生鮮食品などはスーパーに返品することができる。スーパーと販売パートナーのそれぞれにメリットがある仕組みだ。

提携スーパーでその日の販売商品を選びトラックに積み込む


■商品の価格は「+10円ルール」

しかし、これでは移動スーパー事業の運営はできても収益を出すのが難しいという問題がある。そこでとくし丸で採用しているのが「+10円ルール」だ。

これは1つの商品を玄関先まで届けるという付加価値として、1商品につき10円を店頭価格にプラスして販売するというもの。これを販売パートナーと提携スーパーで5円ずつ分け合う仕組みで、これもとくし丸の特徴だ。

スーパーと販売パートナー、顧客ととくし丸の4者が協力。
+10円ルールのほか、粗利30%をスーパーとパートナーで13:17に分配する。


■「御用聞き」もする「おばあちゃんのコンシェルジュ」に

とくし丸では週2回、個人顧客や高齢者施設を1軒1軒回り販売している。顧客は玄関先に停まった軽トラックから定期的に買い物を楽しむことができる。

顧客との会話の中で「次に来るときには○○を持ってきて欲しい」という要望が出れば、販売パートナーは次の訪問時にその商品を持って行く、いわゆる「御用聞き」の役割も果たしている。

「週に2回直接顔を会わせるというのは、ご家族よりも頻度が多い場合もあります。すると、自然に販売パートナーとお客様との関係は、甥っ子や姪っ子と親戚のおばちゃんのような親しい間柄になっていきます。ゆくゆくは『おばあちゃんのコンシェルジュ』を目指そうと話しています。

また、販売パートナーに強くお願いしているのが、『売りすぎない、捨てさせない』ことです。食べきれなくて冷蔵庫で腐らせて捨てることにならないように、こちら側が気をつけてあげる。これは必ず指導しています。」(荒川氏)

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