宇宙を走るタイヤからパンクしないタイヤまで ― ブリヂストン, 東京モーターショー
2019/11/7(木)
ブリヂストンは、ソリューションとイノベーションを二つの大きな柱とした展示を行った。イノベーションに関する取り組みでは、通称「月面タイヤ」や走行中ワイヤレス給電対応タイヤ、新素材SUSYM(サシム)を使用したタイヤなど、革新的なラインアップが並んだ。
「月面タイヤ」とは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車と共同で研究を進める、月面有人探査用のモビリティ「有人与圧ローバ」に装着するタイヤのことだ。ブリヂストンによると、月面でのタイヤは、(1)重量を支える、(2)駆動力・制動力を伝える、(3)方向を転換・維持する、(4)路面変化に追従する、以上4つの役割を果たす必要があるとのこと。今回は、実物大のプロトタイプを展示した。走行中ワイヤレス給電対応タイヤは、名称の通りクルマの走行中に道路からワイヤレスでインホイールモーターへ給電することに対応できる製品だ。東京大学が推進する研究プロジェクトでブリヂストンが研究開発を行っており、2025年に実証実験の実施を目指している。受電から駆動まで全てのシステムを収納しているタイヤは世界初とのことで、将来の製品化に期待が掛かる。
ゴムと樹脂を結び付けた世界初のポリマーSUSYM(サシム)を用いたタイヤも展示した。穴が開きにくく、熱によって再生・修復し、低温でも耐衝撃性がある、という特徴を活かしたコンセプトタイヤだ。伝統的な竹細工をヒントにしたという独創的なデザインが目を引く。
そのほかにも、グループ企業のブリヂストンサイクルと共同で開発した、パンクしないタイヤ「エアフリーコンセプト」を装着した二輪車に乗車しながら行うアトラクションなども催した。宇宙の道なき道から将来の街の道路まで対応した多種多様なイノベーションを披露し、旧来の製造業からソリューション提案を行う企業への変革を打ち出した。