トヨタ車体、医療MaaS車両MEDICAL MOVERの本格運用開始
2023/11/15(水)
トヨタ車体株式会社(以下、トヨタ車体)は11月7日、医療MaaS車両「MEDICAL MOVER(メディカルムーバー)」の本格運用開始を発表した。
MEDICAL MOVERは、トヨタ車体がこれまで携わった医療MaaS(飛沫感染抑制車や、伊那市のオンライン診療車、青森市のヘルスチェック車両)の考えをベースに開発したものだ。商用車や福祉車両などの商品開発ノウハウを生かし、医療を満足に受けられない中山間地域やへき地、離島などの住民に、医療サービスを届けることを目的としている。また、同車両には、診察に必要となるベッドやキャビネットデスク、乗降ステップ・手すりなどの基本装備のほか、遠隔診療システムや大型モニターなどを搭載。患者は車内にいる看護師のサポートにより、医師のオンライン診療を受け、患者・医師双方が移動することなく医療サービスを届けることができる。さらに、通常の診察や健康相談のほか、災害時には被災者のケアなどに利用可能だ。
さらに、トヨタ車体は、地域医療振興協会 山口市徳地診療所(以下、山口市徳地診療所)での実証実験を経て同車両の改善してきた。なお、同社は、これからも商用車と架装技術を組み合わせ、クルマ+α の付加価値を付与することで、さまざまな社会課題を解決するとともに、ユーザーのニーズに応えていくと述べている。
▼関係者のコメント
■山口市徳地診療所長 山口県立総合医療センターへき地医療支援部長 医師 中嶋裕氏のコメント
徳地地域の人口はおよそ5000人で、地域の診療所は徳地診療所だけ、常勤医師は1名です。
受診数は1000件/月を越え、予防接種や特定健診などの予防・保健活動も行っています。
担当する面積が広く、診療所を出て診療する時間にも限りがあります。しかし、医療者と患者さんのコミュニケーションに時間を十分確保し、診療の質・ケアを維持していくことは地域医療に欠かせません。
医療MaaSは、患者さんの健康度および満足度向上を図るための一つの手段だと思います。
■山口市徳地診療所 診療看護師(NP)中山法子氏のコメント
診療看護師が定期的にへき地に出向くことで、患者が医療者に相談しやすくなることを期待しています。
へき地の住民は医療に過度に依存せず、セルフケアの意欲が高いものの、適切な医療・看護を受けられていないこともあります。
MEDICAⅬ MOVER の導入により、医療へのアクセス向上を図るとともに、早期から適切なケアを行い、住民の皆さんが望む場所で望む生活を維持でき、健康寿命の延伸に寄与したいと思っています。
■徳地地域住民
この地域にはクルマを持っていない方もいらっしゃいますし、特に冬は雪が積もりますので、看護師が地域まで来てくれ医療サービスを受けられることはとても助かります。
■トヨタ車体 商用事業センター領域長 石川拓生氏のコメント
すべての皆さんに平等な医療をお届けしたいという思いで MEDICAL MOVER を開発しています。今回の実証実験でいただいた声をもとに、より多くのお客様のニーズに合ったクルマづくりに取り組んでまいります。
(出典:トヨタ車体 Webサイトより)