中国三巨人とモビリティ パイオニア
2017/11/14(火)
拡大を続ける巨大市場
中国では年々インターネットの普及が進んでいます。中国互聯網絡信息中心(CNNIC)による第38次「中国互聯網絡発展状況統計報告」によると、インターネット普及率はすでに50%を超えて世界平均を上回っているといいます。そして、7億人を超えるネットユーザーが1日に平均して約3.8時間、インターネットに接続しているといいますからその巨大さが伺い知れます。スマートフォンの普及もこれに拍車をかけているようで、スマホでのインターネットユーザーも増加しています。
広くモバイルとして見ると、そのユーザーは13億人を超え、通信時間の7割以上をBATが押さえています(中華人民共和国工業和信息化部 運行監測協調局 2016年8月分通信業経済運行情況より)。
オンライン分野では特にモバイルへの移行が著しく、オンラインデリバリー、ネットショッピング、オンライン教育、オンライン決済サービスなどでは、モバイル経由に限って言えば、半年で20~40%といった驚異的な成長率を誇っています。近距離物流ビジネス分野への進出や、AR/VR技術の研究開発などが主なトピックとなっています。
ライドシェア市場の“戦争”
中国ライドシェア市場の主なプレーヤーはAlibaba傘下のKuaidi(快的打車)とTencent傘下のDidi(滴滴打車)で、共に2012年に設立・ローンチしています。2014年段階でのシェアはKaudiが56.5%、Didiが43.3%と、ほぼ二社で二分しており、そこにBaiduが出資しているUberが6月に正式運用を開始し、この二社の牙城に切り込むというような格好でした。さらに、2014年末にはレンタカー大手の神州、2015年には同様にレンタカー大手の易到が参入しました。
この頃から紅包戦争と呼ばれるシェア獲得競争が激化し、過剰なキャッシュバックや補助金競争が行われるようになりました。結果として、KuaidiとDidiが合併、続いてDidiがUber Chinaを買収するといった形で淘汰が行われました。2015年でのユーザーカバー率はDidiがトップの84.2%、それに17.4%のUber、14.9%の神州、4.9%の易到が続くといった構図になっています。
中国においては今後10年、何億人もの人々が中間所得層に入っていくことが予想されるため、ライドシェア市場は将来的にも高成長が見込まれています。易観智庫の予測では、2018年のライドシェアの市場規模は813.8億元と、2015年の370.6億元の倍以上になると予想されています。