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東京大学ら、「次世代AI都市シミュレーター」の実証をエリア拡大して実施

2023/1/18(水)

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国立大学法人東京大学(以下、東京大学)ら3者は、「次世代AI都市シミュレーター」の実証実験を、対象エリアを拡大して2022年12月から開始した。1月17日付のプレスリリースで明かしている。

同実証は、東京大学、ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)、および小田急電鉄株式会社(以下、小田急電鉄)の3者で実施する。対象エリアは、小田急線海老名駅周辺の一部の商業施設から同駅周辺エリアまでだ。

同シミュレーターは、東京大学とソフトバンクがBeyond AI研究推進機構の研究テーマの一つとして、小田急電鉄と2021年4月から協力して研究開発に取り組んでいるものだ。

これまでの研究開発では、デジタル空間上に海老名駅周辺エリアを再現し、インセンティブ(動機付け)が行動変容を促す効果を検証している。同検証では、現実空間での人流・交通・購買・来訪者などの匿名化された属性データとデジタルツインの技術を用いている。

また、これまでの検証では、商業施設「ViNAWALK(ビナウォーク)」内に設置したビーコンやデジタルサイネージなどを活用している。そして、行動変容への動機付けとして施設の来館者に役立つ情報などをタイムリーに配信し、効果を検証してきた。さらに、この検証結果を基に、人流誘導アルゴリズムの開発、デジタルツインを活用したシミュレーション結果の可視化などを実現している。

今回の実証では、人流誘導の効果のさらなる向上を目指して、対象地域を訪問する人、居住者や勤務者なども対象にする。対象エリア内にある商業施設への来館者には優待やイベント情報を、マンションの居住者には買い物に使えるクーポンなど日々の生活に密着した情報を提供。そして、オフィスビルの勤務者向けには飲食店の混雑予測情報などを提供する。

くわえて、同実証では、ユーザーの属性に合わせて最適な情報を提供することで、食事や買い物をより快適に楽んでもらえる仕組みを構築する予定だ。商業施設のLINE公式アカウントやサイネージなどを通して、情報提供を行う。

併せて、予測情報の提供の対象者を拡大し、「ViNA GARDENS(ビナガーデンズ)」の商業施設に入居中のテナントに対して、人流の予測情報を本実証実験専用のLINEアカウントで提供する。テナント側は、この情報を基に、スタッフの勤務シフトや配置の最適化、商品や材料の仕入れや在庫管理、空調の管理などを効果的に行うことが可能だ。これにより、飲食店におけるフードロス対策や施設の節電などにつなげる。提供情報などについては、テナント側の感想を簡単にフィードバックできる仕組みを構築し、その結果を基に、より有益な情報を配信するサイクルを確立するという。

なお、東京大学とソフトバンクは、今後「次世代AI都市シミュレーター」をさらに発展させ、実用性と汎用性が高いスマートシティソリューションの開発とデジタルツインの精度の向上を図り、さまざまな都市での活用を目指す。また、小田急電鉄は、さらなる賑わいの創出による「ViNA GARDENS プロジェクト」の進展にくわえ、研究の成果の小田急沿線での活用により、地域の新しい価値の創造を目指すと述べている。



(出典:東京大学 Webサイトより)

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