Will Smart、都内でバス乗降者数計測システムの実証実験
2021/3/22(月)
AIやIoT関連のソリューションを提供するWill Smartは、2020年2月に都内バス会社と公共交通事業者向けのAIソリューション「Customer Count AI for BUS」によるバス乗降者数の計測、および利用者の年代や性別といった属性分析の実証実験を実施した。17日にプレスリリースで発表している。
バス業界では運転士の不足が慢性的な課題となっており、改善に向けたバスの運行スケジュールの適正化が必要だったという。だが、乗降者の利用実態に関する正確性の高いデータが入手できていなかったため、検討が進んでいなかった。センサーを使った乗降客のカウントシステムも存在したが、正確性と詳細な情報の不足が課題だった。AIカメラによる計測が注目されたが、「真夏の停車時の温度上昇」、「不安定な電源」、「走行に伴う振動」などが故障を引き起こす原因となりやすく、導入が進んでいない。
今回の実証実験では、AIとカメラを活用して「降者数の精度、乗降客の属性情報の取得」「バス車内への環境適合の可能性」「実運用に際して発生するメンテナンスの課題の有無と改善方法」の3項目を検証した。
「乗降者数の精度、乗降客の属性情報の取得」については、マスクをつけた状態でも高い精度の計測と情報収集に成功した。「バス車内への環境適合の可能性」に対しては、AIカメラで問題だった「真夏の停車時の温度上昇」、「不安定な電源」、「走行に伴う振動」に加え、バス車内への機器の設置方法、電源やネットワークの取得方法などにも対策を行っている。
「実運用に際して発生するメンテナンスの課題の有無と改善方法」については、メンテナンス性を考慮し、機器仕様やシステム構成を見直した。バス運行中の揺れ等でカメラの位置ズレが起こるため、AIに検知機能と係員にアラートで知らせる機能を追加している。
Will Smartは、今後に向けて時間帯や停留所ごとの利用者状況を元に、顧客利便性と適正な運転士配置を両立させる運行スケジュールを作成を検討すると述べている。また車内の混雑度をバス停のディスプレイや乗り換え等のスマホアプリ表示、ODデータの取得、利用者属性を元にしたバス車内広告の出し分けなども検討項目に挙げている。