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矢野経済研究所、車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査結果発表

2022/8/1(月)

株式会社矢野経済研究所は、車載用リチウムイオン電池(Lithium-ion Battery、以下LiB)世界市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。7月28日付のプレスリリースで明かした。

同調査は、2021年12月~2022年6月に、日本、欧州、中国、韓国の自動車メーカー、車載用リチウムイオン電池メーカーを対象に実施した。

2021年における車載用LiB世界市場規模は、容量ベースで前年比220.9%の371.1GWhとなり、xEV(EV、PHEV、HEV)の市場成長と連動し車載用電池市場も拡大した。同社は、HEVが4.7GWh(前年比168.2%)、PHEVが32.2GWh(同188.9%)、EVは334.1GWh(同225.6%)と推計している。

自動車市場全体では、ここ数年、前年比マイナス推移が続いている。しかし、電動車(PHEV、EV)に関しては、欧州、中国を中心に前年を上回る推移が2020年以降続く形となっている。EVに関しては、Teslaが依然大きな存在感を示しており、欧州勢からはVWが「ID.3」に続き、「ID.4」の販売台数を伸ばしている。また、中国では2020年に続き低容量EVの販売が増加傾向にある。

日本では2020年10月の「2050年カーボンニュートラル宣言」において、日本政府として初めて2050年までの二酸化炭素ネット排出量ゼロが表明された。そして、2030年代半ばまでにICE(内燃エンジン)車の新車販売ゼロを目指す方向で調整が行われている。クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金として、電動車(PHEV、EV、FCVほか)の政策補助が手厚くなる動きがある。2021年度補正予算375億円、2022年度予算155億円が措置された。

また、同社は、xEV市場を取り巻く市場環境を考慮し、成長率高めの「政策ベース予測」と成長率低めの「市場ベース予測」、2つのシナリオで成長予測を行った。

「政策ベース予測」は、自動車メーカー各社、および各国政府のxEV導入目標台数が概ね計画通りに実現されることを想定したものだ。世界的な環境規制強化の動きと各国政府の普及政策、それに対応した自動車メーカー各社の電動化シフトを背景としている。

具体的には、xEVの導入を妨げる諸問題(充電インフラ等)が解決され、車両価格も既存のICE車に近づき、PHEV、EVの大衆化がある程度進むと見通している。同社は、政策ベース予測における車載用LiB世界市場規模は容量ベースで、2025年で1,228.4GWh、2030年には2,020.4GWhになると予測している。

一方、「市場ベース予測」では、使い勝手の良さや車両価格の求めやすさなどの消費者側のニーズを含め、xEV普及拡大に向けた各種課題解決にある程度の時間を要する設定だ。

具体的には、部材コストの上昇による車載用LiB価格値上げ、半導体など部材調達の課題、ロシア・ウクライナ情勢に起因するエネルギー戦略の見直しの可能性、世界的な経済減退等を懸念している。同社は、市場ベース予測における車載用LiB世界市場規模は2025年で808.1GWh、2030年には1163.0GWhになると予測している。

なお調査結果の詳細、および利用方法は、以下で公開されている。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3034

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