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駐車場での事故・犯罪被害を防ぐポイント|起こった場合の対処法は?

2024/1/29(月)

駐車場には事故を引き起こすさまざまな要因が潜んでいます。一般の道路とは異なり、通行できる道の見通しが悪い場合が多く、車や歩行者が思いがけない動き方をすることもあり得ます。さらに、駐車スペースを探すのに気を取られたり、後続車に迷惑をかけまいと焦ってしまったりすることもあるでしょう。

そこで当記事では、駐車場での事故や犯罪被害を防ぐポイントや、万が一の対処方法を取り上げます。解説にあたっては、交通事故被害者の代理人として多くの実績を持つ弁護士法人サリュで、代表を務める西村学氏(以下、西村氏)に話を伺いました。

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駐車場で起こりやすい主な事故・犯罪


●接触事故

接触事故は、車両相互、車両対人、車両単独(自損事故)などに分類されます。特に屋内の駐車場では、建物の柱や壁などによる死角が生まれやすく、見通しが悪い状況に陥りやすいため要注意です。大型スーパーやショッピングモールなど、人通りが多い駐車場はより一層注意する必要があります。

●当て逃げ事故

物損事故を起こし、「負傷者の救護」と「警察への通報」を行わずにその場から立ち去った場合は、いわゆる「当て逃げ事故」と呼ばれます。

【専門家の解説】

西村氏:つい先ほどまで車を運転していた人も、駐車して車から降りれば歩行者となります。ですから、駐車場は一般の道路とは違って車と歩行者が混在しやすい場所です。それだけに、事故に注意する場面も多くなると言えるでしょう。

交通事故を起こした場合、「負傷者の救護」と「警察への通報」を行うことが道路交通法第72条第1項で義務付けられています。ただし駐車場での事故の場合、事故現場が一般の道路か私有地か、さらに私有地でも不特定多数の人が出入りできるか、といった条件次第で道路交通法が適用されるかが分かれます。この区別については、後ほどくわしく解説します。
※参考:e-Gov法令検索

弁護士法人サリュ 代表 西村学氏

弁護士法人サリュ 代表 西村学氏


●車上荒らし・自動車盗難

例えば、車の鍵を閉め忘れたり、「ほんの少し車から離れるだけだから」と油断して鍵や窓を開けたままにしたり、そうした行動をとることで、車上荒らし(車上ねらい)や自動車盗難のリスクは高まります。短時間の駐停車でも必ずキーを抜き、ドアロックを確実にかけることが大切です。

また、被害に遭うリスクを下げる対策として、警報装置やタイヤロックなど盗難防止装置の活用や、外出先で駐車するときは管理人や警備員が常駐している駐車場を選ぶなどの方法があります。


【専門家の解説】

西村氏:車上荒らしや車両盗難といった犯罪被害に遭った場合は、速やかに警察に通報して捜査を任せるのが基本です。

盗まれた金品や車両に関して、民事訴訟で返還請求や損害賠償請求をする権利はありますが、実際に請求した金額を回収できるケースは残念ながらほとんどありません。そのため、施錠の確認や防犯装置の活用といった基本的な事柄を徹底するのが対策だと言えるでしょう。また、車両保険でカバーする選択肢もあるかと思います。
※一般的に車両保険で盗難の補償を受けられるのは、ドライバーに過失がない場合。鍵のかけ忘れといった事例では、補償の対象外となる。

駐車場での事故を防ぐポイント


駐車場での事故を防ぐポイントは、一般道路上の事故防止対策と共通する点が多くあります。改めておさらいしておきましょう。

●十分な車間距離を取って徐行する

駐車場の中では、場内の制限速度を「時速10km未満」といった内容で看板や標示に記載しているケースが多く見られます。急に歩行者が現れる事態などに備え、すぐに停止できるスピードで徐行するように心がけましょう。

前方を走行していた車が、駐車スペースを見つけて急停車する場合も考えられますから、前後の車同士が徐行していても車間距離を確保しておくのが安全です。

なお駐車場内では、一方通行や進入禁止、一時停止など、通路の走行ルールが決められているケースも多数あります。看板や標示を見逃さないようにしましょう。

●目と耳を使って常に周囲の安全確認を行う

駐車場を通行する場合でも、「だろう運転」ではなく「かもしれない運転」の基本に立ち返ることは大切です。

ミラーだけでなく目視確認を行ったり、音で危険な兆候を知るためにオーディオの電源を切って窓を開けたり、周囲の車や歩行者の動きに気を配れるようにしておきましょう。

●ハザードランプの点灯

駐車スペースを見つけて停止し、バックギアを入れるまで、数秒の間隔が生じます。停止する段階でハザードランプを点灯して、後続車に自分の意思を早めに知らせることも一つの方法です。


●曲がり角や出庫時には、一時停止と二度停止

見通しの悪い通路を走行する際や駐車区画からの出庫時に有効な対策として、「二度停止(二段階停止)」という方法があります。まず通路の交差部分の手前で一段階目の停止。そして徐行しながら少し前へ進行し、見通しのよくなった状況で再度停止。このように二段階に分けて停止する方法です。

二段階目の停止を行う過程で、自車の存在を交差する車や歩行者に知らせることができ、より広い視界を確保できます。この方法は一般道路の交差点で出会い頭の事故を防ぐためのものですが、見通しの悪い状況が多い駐車場内でも応用できるでしょう。
※参考:江上喜朗(2013)『交通事故を7割減らすたった2つの習慣』松永勝也 監修,日本経済新聞出版社

●ドライブレコーダーを導入する

ドライブレコーダーの中には、走行中だけでなく停車中の映像を残せる機種もあります。常時録画できるものや、衝撃や動きを感知したら録画を開始するものなど、機種や設定によってさまざまな方式があります。

通信型ドライブレコーダーであれば、走行中の車間距離や危険な運転行動を検知して管理者に通知する機能があります。停車中だけでなく駐車前後の状況をくわしく把握できる点がメリットの一つです。

●機械式立体駐車場の場合の注意点

都市部では、限られた敷地を有効活用するため、機械式立体駐車場が普及しています。時間貸し駐車場(コインパーキング)や商業施設、マンションの専用駐車場など、さまざまな場面で見られる形態です。



一方、機械式立体駐車場では利用者が機械に挟まれる死亡事故が発生しています。国土交通省や消費者庁が発信しているガイドラインには、例えば以下の注意事項があります。

・運転者以外は進入しない。
・子どもが近付かないように注意を払う。
・操作盤に他の人のカギが挿入されている場合、絶対に操作しない。

二段・多段方式やエレベーター方式など、駐車の形態によって注意するべきポイントが一部異なります。利用する機会がある人は、改めておさらいしておくのがおすすめです。
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▼デンソーテンの通信型ドライブレコーダー「Offseg(オフセグ)」の強み

駐車場の事故は、自分の車が停車中に起こる場合もあるでしょう。駐車時に録画可能な通信型ドライブレコーダーを選ぶことで、万が一の事態に備えることができます。

録画カメラは約360°撮影可能
標準設定の録画カメラは、フルHDで200万画素・2カメラ一体型で、約360°の映像を撮影できます。後方もしっかりカバーしたい場合は、オプションでリアカメラも取り付け可能です。

駐車時の録画設定も
タイマー監視型や衝撃検知型など、用途に応じた駐車時の録画設定ができます。低電圧検知時のシャットダウン機能も搭載し、万が一のバッテリートラブルへの対策も万全です。また、赤外線カメラにより夜間の撮影にも対応します。
※シガー電源接続の場合は対応できません。

録画データは内蔵メモリーに格納
SDカードに映像を録画する手法は、カードの破損・紛失・未挿入といった課題があります。Offsegは内部メモリーへの録画に対応しており、これらの事態を防ぐことが可能です。

駐車場で事故が起きた場合の対処の手順

事故防止対策を講じていても、発生リスクを必ずゼロにできるわけではありません。万が一の事態でも慌てないように、改めて事故対応の流れを整理しておきましょう。

Step1.人身事故の場合、負傷者の救護を行う。

Step2.駐車場内の通路上の危険を除去し、二次被害を防ぐ。

Step3.警察へ通報する。

Step4.事故状況を確認・保存する。

Step5.保険会社へ連絡する(必要に応じて)



【専門家の解説】

西村氏:駐車場内であっても、事故が起きた場合の対処法は一般道路での事故とほぼ同じ手順です。まず負傷者の救護や二次被害の防止措置を行い、速やかに警察へ届け出ましょう。任意保険に加入している場合は保険会社への報告が必要ですが、事故現場ですぐ連絡しなくても問題ありません。

駐車場の事故ならではの対応として、例えば商業施設や飲食店の駐車場で事故を起こした場合、防犯カメラの映像を保存してもらえるか店舗側に確認しておくことが挙げられます。ご存知のように、防犯カメラの映像は一定期間を過ぎると上書きされますから。

もちろん、依頼を受け入れてもらえるかはお店側の対応にもよりますし、自分から依頼しなくても警察から店舗に依頼する場合もあります。また、ドライブレコーダーで事故の状況を録画している場合は必要ないかもしれませんから、そのあたりはケースバイケースですね。

駐車場での事故についてよくある疑問

事故を防ぐポイントや発生時の対応など、駐車場と一般道路の事故の間に大きな違いはありません。ただし、事故の発生現場や状況によって、法律の適用や過失割合などに違いが生じる場合があります。ここからは、駐車場での事故に関するよくある疑問について西村氏に伺います。

弁護士法人サリュ 代表 西村学氏

●駐車場での事故は、道路での交通事故と異なる?

西村氏:先ほど触れた通り、駐車場での事故の取り扱いは、その駐車場が「私有地」か「道路」のどちらと見なされるかで異なります。

両者の区別をどう判断するかは状況次第ですが、道路交通法が適用されるのは、同法第2条1項にある「自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所」です。ここで言う「自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所」としてまず挙げられるのが、国道や都道府県道、市道といった公道です。それら以外に、私道に適用される場合もあります。

商業施設の駐車場や月極駐車場などは私有地なので、一見すると道路交通法の適用範囲にはならないように思えます。しかし、「不特定多数の人が出入りする場所」は道路交通法が適用されます。つまり、この条件を満たす駐車場で事故を起こせば交通事故扱いとなり、道路での事故と同じように罰金・罰則を課されることになります。

他方、会社や工場の敷地といった場所は、防犯上の理由などもあって不特定多数の人が入れないケースも多いですから、道路交通法の適用外となる可能性が高いでしょう。ただし、道路交通法の適用がない場合でも、例えば人身事故を起こした場合は過失運転致死傷にあたるとして刑事処分の対象となったり、免許停止などの行政処分や、民事上の損害賠償請求を受けたりする可能性があります。
※引用:e-Gov法令検索


●駐車場の管理者は、責任を問われるのか?

西村氏:よく「駐車場内で起きた事故については一切責任を負いません」という主旨の張り紙を見かけます。しかし、駐車場の構造に事故を引き起こすような欠陥があれば、当然管理者側が責任を負う可能性があります。

設備の点検整備を怠ったことが原因で、事故が発生してしまった場合が典型的な例でしょう。通行車両に危険な誘導をした場合なども挙げられます。

例えば、商業施設の駐車場でAさんとBさんが衝突事故を起こしたとします。通常はAさんとBさんの双方だけの問題ですが、事故の原因が施設側にもあった場合、施設の管理者も加えた3者に過失責任が生じる(過失割合を分担する)こともあり得る、ということです。

駐車場の事故でも、初動に何をするかがポイント

ここまで、駐車場での事故に関する概要や防ぐ方法、対処の手順などの情報を解説してきました。最後に、多種多様な交通事故の事例と向き合う西村氏に、大切なポイントを伺いました。

弁護士法人サリュ 代表 西村学氏
西村氏:交通事故で相手方を負傷させた場合であっても、むち打ち症などの軽症であれば、起訴される事態まで発展するケースはまれです。処分の重さを分ける要因として、被害者の怪我の程度や後遺障害の有無などが挙げられますが、その他のさまざまな点も考慮されます。たとえば、加害者から被害者への謝罪の言葉がないとか、事故後の対応や相手方の被害感情といった要素も考慮されるんです。

示談交渉など事故後のやりとりがこじれてしまうのは、ほとんど初動の対応が原因だと感じています。「大丈夫ですか?」や「ごめんなさい」といった気遣いや謝罪の言葉があるだけで相手方の心証は全く変わってくるのですが……。

その点を踏まえると、事故状況を確認・保存する行動についても注意が必要です。確かに、現場の写真を撮影して記録するのは大切なことですが、相手方を気遣う言動や行動をろくにせず、いきなり携帯電話を取り出して現場の写真を撮影していたら、相手方はどう感じるでしょうか。

謝罪したからといって交渉で不利になったり、賠償金や慰謝料が増額したりするわけではありません。救護義務や報告義務など、法律的に必要な措置を適切に行うのはもちろんですが、まずは事故に遭った相手を気遣うことが何より大切だと考えています。

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