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運転適性検査の内容と注意点|事故防止への活用も解説!

2023/9/14(木)

運転免許の取得にあたって、自動車教習所などで実施するのが「運転適性検査」です。その他にも、社用車を運用する企業が、安全運転教育や事故防止のために従業員研修として実施する場合もあります。

当記事では、運転適性検査の基礎知識から、検査でわかる内容、そして事故防止への活用方法までくわしく解説します。

解説にあたり、企業や団体の事故削減・安全運転管理で豊富なサポート実績を持つ、SSD研究所(株式会社エスエスディ)で取締役を務める野村幸一氏と、営業部長の高林一夫氏に話を伺いました。

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SSD研究所 取締役の野村幸一氏(左)、営業部長の高林一夫氏(右)

SSD研究所 取締役の野村幸一氏(左)、営業部長の高林一夫氏(右)


運転適性検査の基礎知識

冒頭にも述べた通り、運転適性検査は自動車教習所(自動車学校)で行われるケースと、企業が従業員を対象に実施する安全運転研修の一貫で活用されるケースがあります。
※その他、運転免許センター・運転免許試験場などでも適性検査が行われます。
企業が研修で行う際のポイントについては後ほど触れ、まずは運転適性検査の基礎知識をおさらいします。

●運転適性検査とは?

運転適性検査とは、狭義では、注意力や判断力、性格の傾向を調べるペーパーテストのことを指します。この検査を通じて、自分の行動パターンや特性を客観的に知り、安全運転の実施、事故の防止へとつなげることが大きな目的です。
※広義では視力検査など含めて「運転適性検査」と呼びます。

●運転適性検査はいつ行われる?

自動車教習所などで運転適性検査を受ける場合、入所初日に受けるのが一般的です。各教習所では、入所式・適性検査・最初の学科教習を一日で行うスケジュールを組んでいるケースが多いようです。

前述したペーパーテストとは別に、視力検査なども行います。例えば、普通免許の取得に必要な視力の基準は、「左右それぞれの視力が0.3以上で、両眼の視力が0.7以上あること。片方の視力が0.3に達しない場合は、よく見える方の視力が0.7以上かつ視野が150度以上あること」と定められています

眼鏡やコンタクトレンズで視力を矯正して基準を満たしても問題ありませんが、その場合は運転時の装着が義務付けられます(運転免許証の条件に「眼鏡等」の記載がされます)。

●運転適性検査の結果が悪いとどうなる?

自動車教習所で行われる運転適性検査は、合格・不合格を判定するものではなく、たとえ結果が悪くても、もちろん運転免許の取得にも影響しません。

運転適性検査の種類と内容


運転適性検査には、さまざまな種類があります。このパートでは、広く採用されている検査方式と、検査を通じてどんなポイントがわかるのか解説します。

●運転適性検査の種類

自動車教習所で実施されている運転適性検査は、主に「警察庁方式運転適性検査(K型)」と「OD式安全性テスト」の2種類が用いられています。

その他にも、自動車事故対策機構(NASVA)が実施する「運転者適性診断」のように、トラックやバスなど自動車運送事業者のドライバーを対象に行うものや、SSD研究所が大阪大学の大森正昭教授(故人)と共同開発した運転適性テスト(大森式SDテスト)のように、企業が従業員を対象に行う安全運転研修で活用されるものなどがあります。

●運転適性検査の内容

広く用いられている「警察庁方式運転適性検査(K型)」と「OD式安全性テスト」の2種類の検査には、それぞれ以下のような特徴があります。

・警察庁方式運転適性検査(K型) 「警察庁方式運転適性検査(K型)は、自動車事故と関連性の深い以下の5要素 について検査します。

(1)動作の正確さ
(2)動作の速さ
(3)精神的活動性
(4)衝動抑止性
(5)情緒安定性

検査自体の所要時間は約32分、検査前に行う趣旨説明や、その他の時間を含めると所要時間は約50分程度となります。

なお、2019(平成31)年3月27日付けの警察庁の通達によると、「運転適性検査・指導者の養成及びこれへの教養は(中略)別添『運転適性検査・指導者養成要領』により、適格者を選考して養成及び教養を行うこと」とあります。つまり、K型の適性検査は、検査を実施する側に資格が必要になる点が一つの特徴です。

・OD式安全性テスト 「OD式安全性テスト」では、運転者の安全運転に関する適性を、「運動機能」、「健康度・成熟度」、「性格特性」、「運転マナー」の4つの観点で分析し、検査項目別に評価します。

また、「運転適性度」を1~5の5段階で、「安全運転度」をA~Eの5段階でそれぞれ判定し、総合評価を行います。この総合評価の結果を踏まえて、大きく4つの運転タイプに分類されます。

OD式安全性テストの4つの運転タイプ

OD式安全性テストの4つの運転タイプ


1 安全運転タイプ 「運転適性度」も「安全運転度」も平均以上の能力を持つタイプ。比較的安全に運転できるものの、「絶対に事故を起こさない」わけではないので油断大敵。

2 もらい事故傾向タイプ 安全に対する意識が強く、自分から事故を起こす可能性は低い。ただし、技術的なもたつきが原因で、追突などのもらい事故に遭う可能性があるため要注意。

3 重大事故傾向タイプ 運転操作は比較的器用にこなせるが、安全運転への心構えに問題があるタイプ。自分の運転技術を過信せず、安全第一を心がけることが大切。

4 事故違反多発傾向タイプ 安全運転適性が高くないタイプ。運転する際は細心の注意を払い、常に安全を確保しながら運転する必要がある。

運転適性検査についての主な注意点

運転適性検査の結果が免許取得に影響しない点は、先ほど述べた通りですが、では、どのような心構えで検査に臨むべきでしょうか?また、検査結果をどう解釈し、どう活用するべきかについても解説します。

●検査前の主な注意点

前述したように、運転適性検査は、学校の試験のように回答のコツがあったり、優劣を競ったりするものではなく、運転適性が低い結果となっても免許取得ができないわけではありません。

制限時間内に全ての問題に回答できない場合があるかもしれませんが、焦らず回答していきましょう。適性検査を実施する直前にも説明されると思いますが、「正直に、素直に答える」意識で臨むのが正解です。

また、事故傾向タイプと判定されたから必ず事故を起こす、というわけではなく、運転における性格面のウィークポイントは、安全態度(交通ルール重視、社会的責任・立場、安全重視・危険回避など)によって抑制できることも覚えておきましょう。

●検査結果のとらえ方

運転適性検査を行う目的は、運転における自分の特徴を正しく「知る」ことです。正しく「知る」ことは、「運転中に自己をコントロールできるようにする」ことにつながります。

つまり、「セルフモニタリング」を通じて「セルフコントロール」を行えるようにして、事故防止に役立てることが適性検査を受ける目的です。


企業研修として運転適性検査を行う場合のポイント

ここまで、運転適性検査の基礎知識や検査の内容、目的などについて解説しました。

前述したように、運転適性検査は、社用車を運用する企業などにより、従業員向けに行う安全運転研修の一貫として活用されるケースがあります。企業研修で行う場合でも、事故防止へとつなげることが大きな目的であることは変わりません。

それでは、検査の結果をどうやって日々の安全運転管理や事故防止へと役立てられるのでしょうか?SSD研究所の両氏に、2つのポイントを聞きました。

SSD研究所 取締役の野村幸一氏と営業部長の高林一夫氏

●ポイント1:結果の分析・解説までタイムリーに行う

企業が行う従業員向けの安全運転研修として、運転適性検査を実施する場合、座学講習の中に組み込むのが一つの方法です。

また、検査の結果は、タイムリーに出す必要があります。座学講習の中で結果のチェックや分析、解説までをワンセットで行うと効果的です。

●ポイント2:目標設定と継続の重要性

例えば、ある人の検査結果で、「自己中心性が強い」傾向があり、運転においても他の車両などに進路を譲る行動が苦手だとわかったとします。そういった場合は、「1日に3回、譲りましょう」など、具体的な行動目標を設定するのが一つの方法です。

安全運転研修や適性検査を受けた直後は、高い注意力で「気をつけよう」と考えていても、時間が経つにつれて徐々に記憶が薄らいでいきますし、仕事やプライベートの出来事が影響して注意がおろそかになる場合もあり得ます。

また先日、安全運転管理者向けの法定講習について解説したときにも触れましたが、交通事故のリスクを下げるには継続的な取り組みがとても大切です。設定した行動目標が実行できているのか、ドライブレコーダーで確認するのも効果的でしょう。
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