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アイシン、「沖縄ゆいまーるプロジェクト」に参画|産官学連携で観光DXと交通課題解決を加速

2025/8/7(木)

産官学が連携し、沖縄県の交通事故削減や地域活性化を目指す「沖縄ゆいまーるプロジェクト」は、これまでの実証で観光客の行動変容や渋滞緩和に一定の成果を確認したと発表した。さらに、2025年8月より新たにアイシンが参画。同社の持つAIや位置情報活用技術を加え、レンタカー利用者の観光体験向上と交通課題解決の取り組みを一層強化する。
「沖縄ゆいまーるプロジェクト」は、トヨタ・モビリティ基金やJTB、沖縄県警察本部、琉球大学などが連携し、レンタカー利用者を対象に交通課題の解決と観光振興の両立を目指す取り組みである。これまでの実証では、具体的な成果が上がっている。

JTBが中心となった観光レコメンドの実証では、那覇市内に戻る際の渋滞を避けるため、早い時間帯に南部エリアを訪問する観光ルートを提案。結果、レンタカーの南部訪問台数が前年同期間比で2倍に増加した。また、渋滞しがちな北部の海沿いルートに対し、比較的空いている山側ルートの魅力を伝えることで、山側ルートの利用率は通常の1.1%から14%へと大幅に向上。観光客の行動変容を促し、交通分散に成功した。

トヨタ・モビリティ基金の発表では、インフラ対策による事故削減効果も報告されている。警察の事故データや車両データを分析し、那覇空港近辺の若狭ICに滑り止め塗装を施したところ、事故率が約7割減少したという。

この実績を土台に、プロジェクトは新たなフェーズへと移行する。今回、新たにアイシンが参画。同社はカーナビ開発で培ったLBS(位置情報活用サービス)技術とAIを活用したスマートフォンアプリを開発。このアプリは、ユーザーの嗜好を学習し、最適な観光スポットを提案するだけでなく、高精度な交通情報を基に渋滞エリアの迂回ルートを案内する機能を備える。

2025年10月から12月にかけて、このアプリを用いた実証実験を開始する計画だ。パーソナライズされた情報提供により、さらなる周遊促進と渋滞回避効果を検証し、”沖縄モデル”の確立を目指す。プロジェクトは今後、ヤンバルクイナなど希少野生動物の交通事故防止といった新たな課題にも取り組むとしている。


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