SBドライブなど6社 羽田空港で自動運転バスの実証実験 2020年実用化を目指す
2019/1/10(木)
愛知製鋼株式会社、SBドライブ株式会社、先進モビリティ株式会社、全日本空輸株式会社、株式会社NIPPOおよび日本電気株式会社は6社で連携して、2019年1月15日から25日までの間、羽田空港の制限区域内で自動運転バスの実証実験を実施すると発表した。
実証実験実施の背景
ANAとSBドライブは、2020年以降に空港で自動運転バスを実用化することを目指し、2018年2月に羽田空港新整備場地区で自動運転バスの実証実験を実施し、車両走行制御技術や遠隔運行管理システムの検証などを行った。今回の実証実験では、実用化に向けた次のステップとして、上記6社が連携して、航空機や特殊車両が走行する空港特有の環境下での自動運転バスの走行に必要な環境整備などを検証するほか、実用化に向けた課題の抽出を行う予定である。
なお、この実証実験は、「航空イノベーションの推進」と「地上支援業務の省力化・自動化」に向けて、国土交通省が全国4つの空港で実施する、空港制限区域内における乗客・乗員などの輸送を想定した国内初の自動走行実証実験の一環として実施するものだ。
実証実験の検証内容
本実証実験では、市販の小型バスをベースに先進モビリティが改造した自動運転バスを使用する。羽田空港の第2ターミナル本館とサテライト(別棟)間を自動運転レベル3で往復し、主に下記の検証を行う。なお、今回の実証実験ではお客様の輸送は行わず、関係者のみで実施する。(1)「磁気マーカーシステム」を用いた車線位置制御
今回の走行ルートは、実際に専用車両が乗客輸送や貨物運搬を行うルートであるため、高い精度で車両位置を調整しながら走行することが求められる一方、周囲の遮蔽(しゃへい)物によりGPSの電波を取得できないエリアがある。このため、走行ルートに沿って磁気マーカーを埋設し、車両の底部に設置した高感度磁気センサー(MIセンサー)でそれを検知することで、GPSの電波が届かない環境でも安定的に車両位置を自動調整できるようにする。なお、今回使用する磁気マーカーは、IoT・ビッグデータ時代に対応すべく新規に開発したRFIDタグ付きのもので、国内で初めて次世代磁気マーカーを空港制限区域内に埋設して読み取り性能を検証する。(2)遠隔運行管理システム「Dispatcher」を利用した運行管理
遠隔地にいるオペレーターがSBドライブの遠隔運行管理システム「Dispatcher(ディスパッチャー)」を利用してバスの運行管理を行う。バスの乗降地点では、乗降が完了したことをスタッフがオペレーターに伝え、オペレーターは「Dispatcher」でバスが発車可能な状況であることを確認する。また、ルートには走行車両が航空機のエンジンによるブラストを避けるための停止線があり、バスはそこで一度停止した後、オペレーターが「Dispatcher」でブラストの状況を確認して走行を再開させる。
(3)空港制限区域内での自動運転バスの走行
空港制限区域内は、航空機や特殊車両の往来、地上支援オペレーションなどがあり、一般公道とは環境が大きく異なる。このような環境下で、「航空イノベーション」と「地上支援業務の省力化・自動化」の推進・実現に向けて、「磁気マーカーシステム」および「Dispatcher」と連携させた自動運転バスの走行技術の検証と課題抽出を行う。実証実験の概要
(1)実施期間:2019年1月15~25日(2)実施場所:羽田空港(東京国際空港)の制限区域内(ルート:片道約600m)
(3)使用車両:日野自動車株式会社の「日野ポンチョ」をベースに改造した自動運転バス
(主な搭載機器:自動操舵装置、自動ブレーキ制御装置、GPS受信機、LiDAR、走行制御ECU、磁気マーカー用センサーユニット)
(4)主な実施内容: 航空機や特殊車両が走行する空港特有の環境下における自動運転バスの自動運転レベル3での走行検証
空港内での自動運転バスの実用化に向けた課題の抽出、必要な環境整備の検証