デンソー R&Dの強化でモビリティ社会に 新たな価値を
2017/10/6(金)
脳血流量で人間の感情を検知
ドライバーモニタリングには、視線の検知やまぶたの開閉具合による居眠り検知など、実用化されているものもある。今回デンソーが発表したのは、脳の血流量をセンシングして、モニターに表示するというもの。これによりドライバーの感情を読み取ることを目指している。ドライバーはサンバイザー型のウェアラブルセンサー「fNIRS(functional Near Infrared Spectroscopy)」を頭部に装着することで、右脳左脳それぞれ2カ所の計4カ所の血流量を測定することができ、血流量が多いときは赤、少ないときは青で表示される。現在は脳血流量が測定できるだけであって、どのような感情と結びついているかはわからないが、今後はこの4カ所の血流量のパターンからイライラしていないか、緊張していないかなどの感情を読み取り、運転支援や快適な車室内空間のために役立てていくという。
100年に一度のモビリティの変革にどう挑むのか
今回、先端技術研究所を見学して、AIやSiC、バイオなどと、デンソーの研究領域の広さを実感した。一方で、先端技術研究所とSOKENのシナジーであったり、外部の大学との研究連携を進めたりと、新たな取り組みを進めているということも感じた。加藤氏は「デンソーは製造業なので技術戦略は経営に直結する。電動化、自動化、シェアードモビリティ、コネクティビティなど、基盤技術に加えて新しいバリューをつくっていかなければいけない。環境技術・安全技術については5年10年先がある程度見通せるが、シェアードモビリティに代表されるモビリティ社会全体を変えるものはロードマップでは読みづらい。きちんとロードマップに従った開発と、新たな開発を両立してやっていかなければいけない」と述べた。これまでのクルマ社会を覆すようなシェアリングエコノミーへの挑戦を感じ取ることができた。