地道な試験の積み重ねが自動運転の「安心・安全」をつくる デンソー
2017/11/24(金)
額田テストセンターの概要
名古屋駅からクルマで約1時間半、岡崎市の山奥に見えてくるのが額田テストセンターです。1984年に設立されたこのテストセンターは、面積が100ha、周回路が約2.6kmの大きさを誇ります。周回路は、砂利周回路、浸水路、旋回路など、さまざまな道路環境を再現しています。
また、ポッツドッツなど、日本にはない環境も再現しています。
「走行環境に用いるセンサーで認識しなければいけない物体や環境は、例えば白線の引き方が違ったりするなど、国によって異なります。そういうことを1カ所で検査できる場所が必要になります」と松ヶ谷和沖・ADAS推進部部長(以下、松ヶ谷氏)は述べました。
周回路の隣には、さまざまな自然環境を再現できる自然環境試験棟が併設されています。ITARDA(交通事故総合分析センター)のデータによると、人対クルマの死亡事故の約70%が夜間に起こっています。また、天候別に見ると雨霧雪の場面の死亡事故は全体の約14%に上ります。悪天候下でセンサーが認識できない場面があれば、当然大きな事故につながることになります。
「晴れている時間の方が長いので、統計的には晴れの場合の事故が多いですが、実際に危険なのは雨、霧、雪など悪天候のとき、事故のリスクは相対的に増えます。加えて各センサーの一番の短所になるのは昼夜の違いや悪天候です。この短所をカバーする上でも、いろいろな環境を再現し、何度も何度も同じ環境の中で評価するために、この施設があります」と松ヶ谷氏は、自然環境試験棟の重要性を語ります。
自然環境路は、長大な建物の中に、長さ約200m、幅10mの走路を持ちます。大きな特徴の1つは、照明を付けることで照度500Lx以上を確保できることに加え、直射日光を遮断し、夜間の状態をも再現できることです。
もう1つの特徴は、屋内に降雨状態を再現できることです。4mm/hの細かな雨から、気象庁の指標で「非常に激しい雨」とされている50mm/hの降水量を、テストコース上部に取り付けられた搖動ノズルから、均等に降らせることができます。
技術説明会に続き、テストコースを報道向けに公開したデンソー。その技術力の高さ、品質の高さに対する自負が見られます。このような試験による評価という地道な努力が自動運転の実現に結びつくのでしょう。