デンソー、量子コンピューターの無償提供プロジェクトに参画 新型コロナ対策で
株式会社デンソー(以下、デンソー)は、量子コンピューターのクラウド利用サービス「Leap2」を新型コロナウイルス対応で利用する企業・団体に無償提供するプロジェクトに参画すると発表した。同サービスは、カナダを拠点とするD-Wave Systems Inc. (以下、D-Wave)が提供するもの。デンソーは、これまで実証実験などで培った量子コンピューターに関する知見を生かし、技術支援などを行う。
現在、新型コロナウイルスの世界的流行により、各国では治療薬開発や感染抑止に向けた研究などが進められている。D-Waveは、カナダ政府の要請を受け、新型コロナウイルス対応で利用を希望する企業・団体に対し、世界35カ国で「Leap2」を無償で提供するプロジェクトを立ち上げた。量子コンピューターによる研究開発スピードの加速に期待が寄せられているが、利用には高度な専門知識が必要になる。今回のプロジェクトは、D-Waveが同社サービスの利用実績を持つ企業や団体に対し、技術面での支援を呼び掛けたもの。
デンソーは、これまで量子コンピューターを使った工場の効率化シミュレーションの実証実験をはじめとする研究を行ってきた。その中で培った知見を役立てるべく、現実の問題を量子コンピューターが解くことができる形にする定式化や、問題を解くスピードを高速化するなどの技術支援を行うとしている。
■デンソー 代表取締役社長 有馬浩二氏のコメント
「コンピューティング技術は、科学技術や産業の発展に貢献してきました。量子コンピューティングは、さらなる発展に貢献できる技術として期待されており、デンソーはその研究を続けてきました。世界中で新型コロナウイルス対策に携わる多くの研究者や開発者が、D-Wave による量子コンピューターの無償提供を即座に利用開始できるよう、技術支援のプロジェクトに参画し、デンソーのスピリットである総智・総力で、新型コロナウイルスによる危機の回避と世界の継続的な発展に貢献したいと思います。世界の知恵を結集させることで、この困難は必ず乗り越えられると信じています。
■D-Wave CEO アラン・ブラッツ氏のコメント
私たちは、ほぼすべての産業と人口に影響を与える未曾有の危機に瀕しています。お客様やパートナーの専門知識を当社のハイブリッド量子コンピューティングと組み合わせることで、世界中の個人、組織、政府が迅速かつ共同で解決策を構築するための強力なリソースを提供できると考えています。デンソーの研究チームは、D-Wave 量子コンピューターの利用に精通しています。我々は、量子システムに関する専門知識を結集し、新型コロナウイルスに対応する皆様を支援します。このプロジェクトを通じ、D-Wave の最新サービス「Leap2」に無償でアクセスできるようになり、古典的コンピューターと量子コンピューターを組み合わせたハイブリッドソリューションを、迅速に使うことができるようになります。