近大やドコモら、5Gで胎児心臓エコーをリアルタイム伝送する実証実験開始
2021/9/24(金)
学校法人近畿大学(以下、近畿大学)は9月22日、胎児心臓エコー映像をリアルタイムで伝送する実証実験を実施すると発表した。和歌山県串本町(以下、串本町)、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と共同で行う。
近畿大学、日本電信電話株式会社、ドコモ、西日本電信電話株式会社、株式会社NTTデータは2020年11月24日、「5Gの推進、「スマートシティ・スマートキャンパス」創造に関する包括連携協定」を締結した。この協定に基づいて、「近畿大学病院と関連病院である、くしもと町立病院間で、5Gを活用した高精細画像のリアルタイム送受信を行い、へき地での遠隔医療支援の実証実験」に取り組んでいる。また、近畿大学は、ドコモの「5Gを活用した映像伝送ソリューションの医療機関向けモニタープログラムを提供」(以下、LiveU医療モニタープログラム)に参画した。今回の実験は、同プログラムを活用して実施する。
同実験は、串本町のくしもと町立病院・産婦人科と、医療設備の整った近畿大学病院(以下、近大病院)間の遠隔医療支援を行う。具体的には、くしもと町立病院が超音波画像診断装置で胎児心臓エコーを撮影。その映像を「LiveU」からドコモの5G回線を介して映像を伝送し遠隔医療支援を実施する。さらに、手技を行う医師の手元の4K映像も同時に伝送するなどの実用化に向けた検証を行うという。
同実験で扱う胎児心臓エコー映像は、胎児のわずか2cmほどの小さな心臓の繊細な動き、陰り、変化などを捉えた高精細なものだ。約120km離れた近畿大学病院へ5Gで遅延なく伝送し、受信した映像で対面の医療と遜色なく高度な医療が提供できるかどうかを検証する。
近畿大学は、実証で得たデータや課題などを分析し、過疎地の周産期医療における人員不足の解消や高度な医療の展開を進めるという。また、診療科の枠を超えた遠隔医療のさらなるICTの展開に関する検討をドコモと共に進める。
串本町は、住民が安心して出産・子育てができる環境を整え、安心して移住・定住することができる環境の整備を継続的に図る。ドコモは、今後の医療現場における高精細リアルタイム映像伝送の利活用の可能性を探るという。そして、将来的には5Gを活用したさらなる低遅延でかつ高精細な医用映像伝送の実現につなげる予定だ。
同実験参加5者は、今後、「LiveU」医療モニタープログラムのスキームにのっとり、超音波画像診断装置を中心とした高精細医用映像機器と、5Gサービスを活用する。それによって、的確な医療提供の実現、さらに過疎地の周産期医療における診断・治療における常用的な遠隔医療提供に向けて検討。次世代の医療向けソリューションの創出や、新規ビジネスモデルの可能性を探ると述べている。