ニュース

自動運転社会実現への課題―ダイナミックマップ2.0

2017/12/19(火)


ダイナミックマップ2.0と内閣府が主導するSIP-adusとの違いは何でしょうか?

高田氏 SIPとは別のプロジェクトとして動いており、名古屋大学COI(未来社会創造機構)というプロジェクトの一部といった位置づけをしています。SIPで扱っているのはどちらかと言えば静的データがメインで、動的データを扱うというところまで手が回っていないのが現状です。

例えば、高速道路での合流の際にどのタイミングで入れば良いかなどのガイダンスは、現在のダイナミックマップでは難しいでしょう。

街全体の交通量の最適化を行う際に、細い道を使ってでも早く目的地に着きたい人や広い道を使ってゆっくりと目的地に着きたい人などの、個人の好みを見ながらクルマを配分する際の情報インフラとして、ダイナミックマップをSIPが想定しているユースケースよりも一歩進んだ使い方ができれば、と考えています。その思いからダイナミックマップ2.0 とも名付けました。

ダイナミックマップ2.0のベースとなった(CLOUDIA)とはどういったものなのでしょうか?

高田氏 最初の発想は、車載データを統合することでした。クルマの中で扱うデータが増えシステムの作り方が複雑になっていく中で、クルマの上で必要となるデータベースとはどういったものかという観点から研究をスタートさせました。例えばクラウド上では、ビッグデータとして全てのデータを蓄えることができますが、クルマの上や組み込みシステムの上ではほとんどのデータが流れていくだけで、そこにとどまるデータが少ないということが分かりました。そこで、いわゆる普通のデータベースではなく、ストリーム型のデータベースの方が合うのではないかという考えに至り、クルマの上で動くデータストリーム管理システムを作るという運びになりました。

そのシステムの上で、アプリケーションを構築するフェーズになると、これから実用的になるアプリケーションをターゲットにした方がいいという話になりました。そこで注目したのが、大量のデータを取り扱うローカルダイナミックマップです。これをデータ統合アーキテクチャに基づいて作りましょうというのがCLOUDIAコンソーシアムでした。(下図)

車両を制御するとき、従来はアプリケーションごとにセンサーからデータを取得してアクチュエーターを制御していました。これでは、一つセンサーが増えたり新たなデータが追加されたりするごとにアプリケーションの見直しが必要でした。
そこで、そのようなデータやセンサーから得られる情報を統合するレイヤーをつくり、ダイナミックマップとして設定しました。アプリケーション側からダイナミックマップへのアクセス方法整備することで、新たにセンサーが増えても、そこからデータを取得して疎結合させることで、全面作り直しにせずに新しいアプリケーションを作れるようになりました。

欧州のローカルダイナミックマップを作るプロジェクトでは普通のデータベースを使用していたのですが、それでは性能が低いのでストリームデータ管理システムを使用することにしました。

SIP開発領域とダイナミックマップ2.0コンソの開発領域の棲み分け
引用:ダイナミックマップ2.0・コンソーシアムの資料より


1 2 3 4

get_the_ID : 3010
has_post_thumbnail(get_the_ID()) : 1

ログイン

ページ上部へ戻る