自動運転領域に眠る2兆円市場 ヒントはベンチャー企業から学べ! 東京大学 加藤真平氏
2017/11/21(火)
世界中の3次元地図を作る
自分の位置がわかっていれば、走れば走るほどデータが蓄積され、周りの建物などが判明していきます。現在、「世界中の3次元地図を作ろうとしています」と加藤氏。巨大なデータになるので、パラメーターで指定した周囲300mほどのデータをクルマの中に入れておきます。自分の位置とナビの情報から進行方向もわかっているので、クルマが移動すると随時情報がダウンロードされて入ってきます。過去のデータは削除されるので20~30MBくらいの領域がクルマにあれば、地図データを持つことができます。信号認識や落下物回避も可能
信号認識について、解像度が高くないカメラの場合は、信号に近づいてようやく色がグリーンだと判断します。一方で、信号を認識せずに色だけを見にいく方法であれば、クルマのブレーキランプなど、紛らわしいものを信号と認識しなくて済みます。落下物を回避する場合は、クルマとして走り得る経路を常に計算しながら走っているので、その経路に沿って旋回します。「走行可能な経路は何万回とクルマを走らせてルールを作るか、ディープラーニングでコンピューターに学習させるかの2パターンあります。共同研究をしている企業は先の方法で落下物をうまくよけることができています」(加藤氏)。
このように、オープンソフトウェアを活用することで、決められた場所でルート通りに信号認識をしながらの自動走行は可能です。
家のガレージがお城になる
自動運転車は運転をしなくてよいのが最大の利点であり、「わざわざ信号を確認するのはもったいない。例えば、赤信号で止まる動作を、VRの世界でモンスターが出てきたので停まるという設定にするとおもしろいと思います。家に着いた際の車庫入れも、お馴染みのガレージではなくお城に入っていくというVRの世界にすると楽しめるのではないでしょうか」(加藤氏)。クルマが動いているのにVRの世界が止まっているとほとんどの人は酔ってしまうため、実世界での動きとVRの世界の動きをあわせる必要があります。「若者であればモンスターが効果的です。高齢者であれば東京タワーができる前の時代風景にすると楽しんでいただけると思います。VRを取り入れることで、トリップ数の増加や外出促進につながります。自動運転において、VRは強力なコンテンツになっていくことでしょう」(加藤氏)。
自動運転の実用化を目前にして、自動車メーカーやサプライヤ以外のベンチャー企業も、新たな市場開拓に乗り出しています。VRでゲームをするためにクルマに乗ってもらうという考えはベンチャー企業ならではの発想であり、自動運転領域において、まだまだ眠っている市場を発掘する際にはとても参考になる視点だと言えます。
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