Hondaら3社、副生水素とリユースFC電源でデータセンターのGX目指す実証を開始
2025/8/5(火)
本田技研工業(Honda)、トクヤマ、三菱商事の3社は、副生水素と車両からのリユースを想定した定置用燃料電池電源をデータセンターに活用する実証を山口県周南市で開始した。トクヤマが供給する副生水素を燃料に、Hondaが開発した燃料電池で発電し、三菱商事が運用するデータセンターに電力を供給。増加するデータセンターの電力需要をクリーンエネルギーで賄い、GX(グリーントランスフォーメーション)と地域のDXに貢献することを目指す。
この実証は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2023年度「地域水素利活用技術開発」事業として採択されたもの。生成AIや自動運転の普及により電力需要の増加が見込まれるデータセンターの脱炭素化が大きな課題となる中、3社が連携して解決策を探る。
実証では、トクヤマの食塩電解事業で発生する副生水素をパイプラインで供給。これを燃料として、Hondaが燃料電池自動車(以下:FCEV)「CR-V e:FCEV」に搭載される燃料電池をベースに開発した定置用電源で発電する。この電力を、三菱商事が運用する分散型データセンターの主電源として活用する。将来的なFCEV用燃料電池のリユースを想定しており、普及が見込まれる燃料電池の有効活用による経済性向上や資源循環も視野に入れる。
実証の大きな特徴は、多様な運用パターンを検証する点にある。エネルギーマネジメントシステム(EMS)を用い、燃料電池電源をデータセンターの非常用電源としてだけでなく、系統電力から切り離した常用電源としても活用。さらに、電力需要のピークを抑制する「ピークシェービング」や、系統へ電力を供給する需給調整力としての機能も検証する。系統電力や蓄電池(BESS)、再生可能エネルギーと組み合わせることで、高効率かつ最適な電力構成を探索し、燃料電池電源の実用性と事業性を多角的に評価していく計画である。