電池交換、OEM支援のBEV導入 いすゞとUD【JMS2023】
2023/11/8(水)
いすゞ自動車株式会社(以下、いすゞ)とUDトラックス株式会社(以下、UD)はジャパンモビリティショーで、EV商用車のバッテリー交換ステーション実演、EV導入・運用ソリューションや新型車を展示した。2021年にUDがいすゞグループ入りして以来初の共同出展。
「物流2024年問題」やカーボンニュートラルが取り沙汰される中、「ワクワクする未来のモビリティ社会」(いすゞ南真介社長)につながるグループのイノベーションを大面積のブース内で展示した。
「物流2024年問題」やカーボンニュートラルが取り沙汰される中、「ワクワクする未来のモビリティ社会」(いすゞ南真介社長)につながるグループのイノベーションを大面積のブース内で展示した。
3分で電池交換、車両稼働の効率向上EVision Cycle
いすゞは商用車のバッテリー交換ソリューション「EVision Cycle Concept」を世界初公開した。専用のステーションで車両のバッテリーを自動で充電済みのものに交換する。交換にかかる時間は約3分。充電の待ち時間を省くことで、車両の稼働効率を向上させる。バッテリーを複数の車両に付け替えすることで、それぞれ製品寿命まで最大限に効率的な活用ができる。担当者によると、車両、バッテリーそれぞれのサブスクリプションによる展開も考えられるという。
ステーションを置く事業所では、充電時間を分散することで電力負荷を抑える、安い時間帯の電力を使ってコスト削減するなどの利点が生まれる。ステーションと再生可能エネルギーを組み合わせた、蓄電池としての活用も想定している。
いすゞは伊藤忠商事などと共に環境省公募によるバッテリー交換式EV事業※に参画しており、知見を生かした。なお、バッテリー交換用の自動搬送車や台車も揃えており、ステーションを設置せずとも利用可能だ。
※環境省の「バッテリー交換式EV開発及び再エネ活用の組み合わせによるセクターカップリング実証事業」に21年度から参画
商用EV生産に加えて導入、運用もメーカーが支援
南真介社長(以下、南社長)は会見で商用EV導入のトータルソリューションプログラム「EVision」も紹介した。いすゞ初の量産BEV「ELF EV」の発売に合わせて発表したもの。ユーザーの商用EV導入を検討段階から導入時、導入後の各時期で支援する。EV運行ルート策定、充電器設置、エネルギーマネジメントなどを行う。同社による商用車情報プラットフォーム「GATEX」とも連携している。電池残量(SOC)、電池容量の劣化度合い(SOH)管理などメーカーによる管理の強みを生かす。
24年度発売、初のフルフラットバス「ERGA EV」
製品ではいすゞ初のBEVフルフラット路線バス「ERGA EV」が世界初公開された。BEVの特性を生かして、車室後部や全座席の段差をなくしたフルフラット車室として設計。車内移動時の完全バリアフリーを図った。スムーズな加速・減速と低振動・低騒音で安全性と快適性を向上させたとしている。24年度中の発売を予定。
ホンダと共同開発「GIGA FUEL CELL」
燃料電池大型トラック「GIGA FUEL CELL」はホンダと共同開発を進めているFCV。いすゞの大型トラック「ギガ」とホンダの燃料電池を組み合わせ、27年度の市場導入を目指して開発している。いすゞは小型燃料電池トラックでも、商用車の連合会社Commercial Japan Partnership(CJPT)を通じて実証を進めている。南社長は全方位での技術開発を進め、世界に対して「選べるカーボンニュートラルをお届けする」と会見で話した。
UD、いすゞ初の共同開発「常識塗り替えるフラッグシップ」
UDの大型けん引車「Quon GW 6×4」は、いすゞと初めて共同開発したモデル。UDの丸山浩二社長(以下、丸山社長)は「パワフルでありながら省燃費、重量物輸送の常識を塗り替えるフラグシップモデル」「運転しやすく、人にも積み荷にもやさしい」と紹介した。さらに、2社による自動運転の技術開発にも触れた。いすゞは福岡空港でターミナル連絡バスの自動運転の実証実験を行っている。UDは神戸製鋼所の加古川製鉄所構内でレベル4自動運転の実用化に向けて取り組んでおり、実証実験で使われている車両「Fujin(風神)」実車を出展。グループの自動運転を映像とグラフィックで紹介した。