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日産、国内事業を再始動。新型車両の展開と、自動運転の実装に注力【JMS2025】

2025/11/17(月)

世界初公開の新型「エルグランド」

世界初公開の新型「エルグランド」

日産自動車(以下、日産)は、ジャパンモビリティショー(JMS)2025で、世界初公開となる新型「エルグランド」やフラッグシップSUV「パトロール」などを出展。11月から横浜市で始まる自動運転モビリティサービスの実証車両も披露した。代表執行役社長兼CEOのイヴァン・エスピノーサ氏は「国内事業の再活性化」を掲げ、今後の方針を示した。

■新型「エルグランド」を世界初公開、16年ぶりの全面刷新

2026年度夏に発売予定の4代目「エルグランド」は、第3世代e-POWER・電動駆動4輪制御技術e-4ORCE・インテリジェントダイナミックサスペンション(IDS)を取り入れている。

第3世代e-POWERは、専用設計の発電特化型エンジン(ZR15DDTe)と、モーター・発電機・インバーター・減速機・増速機を一体化した「5-in-1 e-POWERパワートレインユニット」により、燃費性能と静粛性を大幅に高めた。

e-4ORCEでは、モーターとブレーキの統合制御による車体揺れ抑制に加え、リヤモーターのトルクを活用し、コーナリング性能を向上。さらに、IDSが走行状況に応じて4輪の減衰力を可変させ、車体の揺れを効果的に抑えている。3技術と6種類のドライブモードにより、「快適性」と「運転の愉しさ」を両立した。


担当者は、デザインのポイントを「威厳」と「先進性」の2点と説明する。現行モデルに比べ全高を150mm引き上げ、「競合車から見下ろされる」という声を払拭した。加えて、全幅も45mm拡大し、室内空間を広げ、外観にも存在感を持たせている。

また、先進性を表現するため、フロントグリルにはメッキを使用せず、デザインテーマの「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」に沿って伝統工芸「組子」を取り入れた。さらに、ボディーカラーの「FUJI DAWN -フジドーン-」と「至極 -シゴク-」を車体の下から上へグラデーションさせている。

■待望の大型SUV「パトロール」、国内発売へ

大型SUV「パトロール」

大型SUV「パトロール」



日産は、フラッグシップSUV「パトロール」を2027年度前半に国内市場へ導入することも発表した。国内における大型SUVの販売は、2007年に生産終了した「サファリ」以来、20年ぶりとなる。

会場では、2024年に中東で発売した7代目の「パトロール」が展示された。全長5,350×全幅2,030×全高1,945mm、ホイールベース3,075mmと大型なボディに、新型の3.5L V6ツインターボエンジンを搭載。従来のV8エンジンに比べ、出力で7%、トルクは25%向上し、燃費性能も改善している。9速ATとの組み合わせにより、高い走破性を実現した。


インストルメントパネルには、14.3インチのディスプレイを2台有するインフォテインメントシステムを装備する。視野を170度まで広げる「ウルトラ ワイドビュー」や、車両の真下を透過して確認できる「インビジブル フードビュー」など、安全性も強化した。

日本での発売について、担当者は「日本ではオフロードを走る機会が少ないものの、その性能を備えながら高級感を持つパトロールには、一定のニーズがあると期待しています」と語った。なお、国内市場用の仕様や価格など詳細は未定で、発売時期に合わせて発表する。

■国内事業の再活性化を狙う戦略

プレスブリーフィングでエスピノーサ氏は、「国内市場で成果を出すことが肝心であり、国内事業の持つ力が日産のグローバルな成長を支える土台となります」と述べた。

また、日産の描く未来はインテリジェント・モビリティであるとし、「経営再建計画Re:Nissanでの取り組みを通じ、戦略を見直しました。先進技術を生かし、明確な目的を持った製品群と革新的なソーリューションやサービスで未来を形作ります」と語った。

具体的には、手頃なモビリティ「コアモデル」、感性に訴える「ハートビートモデル」、地域特化の「パートナーシップモデル」の3本柱を展開。各モデルにEV、e-POWER、内燃機関などを柔軟に設定する方針だ。


先進的な運転支援技術の実現に向けては、11月に横浜市のみなとみらい地区などで自動運転モビリティサービスの実証実験が始まる。会場では、実証に使用する「セレナ」をベースとした自動運転車両が展示された。

展示車両には「AutoDJ」と「ジオラマナビ」を搭載している。「AutoDJ」は、生成AIを活用した車載エージェントシステムで、音声対話による目的地の提案や天気予報、AIラジオでパーソナライズされたコンテンツなどを提供。コンテンツはAIで生成するため、毎回異なる内容が流れる。AIエージェントに日産のマスコットキャラクター「エポロ」を採用した。

「ジオラマナビ」では、みなとみらい地区を再現したジオラマ上で、車両の現在地を示す模型がリアルタイムに動く。これらのシステムは、2026年1月に神戸市で予定する実証への導入を検討中だ。

(取材・文/門脇希)

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