BYDが同社初の海外専用モデル、軽EV「ラッコ」と電動小型トラック【JMS2025】
2025/11/28(金)
BYDは2025年ジャパンモビリティショー(JMS)2025の場で、同社初のBEV軽自動車「BYD RACCO」(ラッコ)のプロトタイプ車両(写真)を世界初公開した。RACCOは日本固有の軽規格で設計した、BYDとして世界初の海外専用モデル。2026年夏の発売を予定している。
日本の乗用車販社BYD Auto Japan(BAJ)の東福寺厚樹社長らは、新車販売台数で2024年まで4年連続1位の「N-BOX」はじめ日本の人気モデルを意識した設計や価格設定で、日本市場を深耕する考え。BYDはRACCOの他、PHEVやEVトラックなど世界・日本で初公開のモデルを多数発表した。
日本の乗用車販社BYD Auto Japan(BAJ)の東福寺厚樹社長らは、新車販売台数で2024年まで4年連続1位の「N-BOX」はじめ日本の人気モデルを意識した設計や価格設定で、日本市場を深耕する考え。BYDはRACCOの他、PHEVやEVトラックなど世界・日本で初公開のモデルを多数発表した。
試作まで1年の軽開発、2グレードを予定
東福寺社長によると、「RACCO」の開発を決めたのは2024年秋。以来、設計、100台超の試作、各種の試験を約1年間の「BYDらしいスピード感」で進めた。日本の軽ユーザーに支持されるスーパートール・左右スライドドアのデザインを意識して採用したと東福寺氏は話した。東福寺社長は従来、「N-BOX」に近い価格帯のモデルを日本で発売することに意欲をのぞかせていた。今回の軽やPHEVの発表で構想を具体化した。詳細はまだ明らかにできないものの、2種の航続距離を設ける予定だと紹介した。BYD初となる軽のモデル名「RACCO」の由来は海の動物「ラッコ」。日本の他にも世界各地で販売する「DOLPHIN」(イルカの意)、「SEAL」(アザラシ)と同様に命名された。ラッコの名を新モデルにつけた理由の一つはその愛らしさ、もう一つの理由として絶滅危惧種に指定されていることもあると東福寺氏は説明した。電動車の普及による温室効果ガス削減で「地球の温度を1度下げる」BYDのミッションを達成する気概も名前に込めた。今後、BAJは消費者や市場の動向を注視しながら価格や仕様を詰めていく。なお、同社によると、中国江蘇省の常州工場で製造した車両を日本へ輸出する予定だという。
PHEVも投入「電気だけは心配」に応える
RACCOと同時に、以前より発売の意向を明らかにしていたPHEV「BYD SEALION(シーライオン) 6 DM-i」も日本初公開モデルとして紹介された。全て自社開発のバッテリー・モーター・1.5リットル自然吸気エンジンを組み合わせた「デュアルモーターインテリジェンス」がDM-iの由来。日本市場に初のPHEVも投入する。2025年12月1日の発売を予定しており、JMS開催に合わせて先行予約や試乗の受け付けを開始した。SEALION 6 DM-iのEV走行距離は約100キロ。BYDのPHEV販売台数は、2008年に初のモデルを発売して以来、世界累計700万台に上ると東福寺氏は実績を強調。日本のユーザーがもつ、BEVに対する不安を解消し、「これまでの内燃機関では得られなかった静か、なめらかで心地よい走りを提供いたします」と述べた。
BAJの販売台数は累計7,000台超。2023年に「ATTO 3」を日本初投入モデルとして売り出して以来「DOLPHIN」「SEAL」「SEALION 7」の計4モデルを販売している。日本を走る車種として最多の軽と、PHEVを加えることで日本市場でもBYDの存在感を高める考え。
小型電動トラックは来春発売、800万円を予定
乗用車と同様に商用BEVの日本専用モデルも披露された。初公開の小型トラック「T35」は普通免許で運転でき、積載量約1トン、航続距離は250キロ(WLTC相当)。日本法人BYDジャパン(BYDJ)で商用車販売を統括する石井澄人副社長はT35の性能について「業界を圧倒的にリードする」と誇った。ADAS、シートベンチレーション、V2H・V2Lといった装備も充実しているとアピール。アルミバンと平ボディの2種を用意し、2026年春に発売する際の価格は架装費込みで約800万円を検討していると明かした。希少な電動小型トラックで新しいニーズとマーケットを開拓するとの意気込みも見せた。- T35アルミバン
- 平ボディ
(画像はBYDのJMS特設サイトより)
2015年以来、日本で約500台を販売する電気バスも展示した。日本向けのバスは大型の「K8」、中型「J7」、小型「J6」計3種を揃える。乗用車と別に設けた商用車ブースでは、路線バス以外の可能性を提案するコンセプトモデルとして「J6リビングカー」を出展した。移動オフィスや工事現場内の休憩所、また趣味に合わせた空間にするなど、用途に応じて小型バスJ6の内装を改造する具体例が展示された。BYDでアジア太平洋における自動車販売の責任者を兼務する劉学亮BYDJ社長はBYDが日本に進出して20年を経たことについて顧客や取引先など関係者への謝意を述べた。そして「BYDは日本にフルコミットしています。ワクワクする未来をここから始めましょう」と観衆に呼びかけて結んだ。














