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【JR九州】自動運転の実証運転を営業列車で実施

2020/12/26(土)

JR九州は、12月24日から香椎線(西戸崎駅~香椎駅間)で自動列車運転装置を用いた自動運転を開始した。当面の間、運転士が乗務した状態の営業列車で実証運転を行い、将来的には運転士以外の係員が前頭に乗務する自動運転(GoA2.5)の実現を目指す。
※GoA : Grade of Automationの略。2.5とは係員付きドライバーレス運転の形態
JR九州では、少子高齢化や人口減少が進む中で鉄道ネットワークを長期的に維持していくために、安全性を維持・向上しながら効率化を推進。また、将来労働人口の減少が見込まれる中で必要な人材を確保するため、作業の自動化や機械化にも取り組んでいる状況だ。

その一環として、中期経営計画2019-2021の「技術革新をとらえた事業の進化」で自動運転の実現を掲げ、ATS-DKをベースとした自動列車運転装置の開発に取り組んでいる。
※ATS-DK: Automatic Train Stop-Digital Kyushuの略。従来の自動列車停止装置に、停止(赤)信号の冒進を防ぐ機能を強化し、速度超過の防止機能を付加した装置
最初の事例として発表したのが、前述の香椎線での自動列車運転装置を用いた自動運転だ。運転士が乗務した状態でATS-DKをベースとした自動列車運転装置を用いた営業運転を行い、在来線における自動運転列車の運行に関する知見を蓄積する狙い。自動列車運転装置による車両制御の安定性、運転取扱いの変更点における検証と、運転士の心理的影響の把握を行う。この取り組みは、「鉄道における自動運転技術検討会(国土交通省鉄道局)」での議論を踏まえつつ進めていく方針だ。

■国内初、3つの試み

JR九州の発表によると、国内初となる3つの試みがあるという。

まずは、ATS区間初の自動運転。これまで国内の鉄道の自動運転は、ATC(Automatic Train Control; 自動列車制御装置)を整備した路線でのみ実用化されてきたという。しかし、JR在来線のほぼ全て(98%)、私鉄と合わせても9割(91%)の区間がATSの整備であり、ATC化には莫大な設備投資が必要だ。運転士が乗務する形態ではあるものの、ATS区間での自動運転は国内初の試みとなる。
※自動運転のために地上子を増設した

※自動運転のために地上子を増設した


次に、踏切がある区間初。ホームドアがない区間、地上区間での自動運転はこれまでに例はあるが、踏切がある区間での自動運転は国内で初めの試み(今回の実証運転では運転士が前頭に乗務して、前方の異常や危険を発見すれば緊急停止操作を行う)。


そして、JR区間初。これまでもJR保有車両が乗り入れ先の線区にATOが整備されているため、ATOを搭載した例はあるが、JR線にATOが整備されるのは初めての事例とのことだ。
※筑肥線運行中の303系、305系は福岡市営地下鉄乗り入れのため、ATOを搭載。ただし、JR筑肥線はATS整備区間(JR九州の在来線にATC区間はない)

JR九州は、2021年度末までに運転士が乗務した状態でATS-DKをベースとした自動列車運転装置を用いた営業運転の区間拡大・対象列車拡大を目指す。

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