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神戸市 自動運転・AIを駆使して 地域に根付く移動サービスを

2018/1/10(水)

写真左から 群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センター長 太田直哉氏 筑紫が丘自治会長 川渕啓司氏 神戸市長 久元喜造氏 NTTドコモ代表取締役社長 吉澤和弘氏 みなと観光バス代表取締役 松本浩之氏 日本総合研究所取締役専務執行役員 松永洋氏

現在自動運転の実証実験が各地で計画・実施されるようになり、活況を呈している。その中で2017年11月から12月までの約2か月間、神戸市北区筑紫が丘において 「ラストマイル自動運転移動サービス実証実験」の実施が発表された。この実証実験は既存のものと異なり、地域住民のニーズに寄り添うことを主軸に据えているという点で、国内でも極めて珍しい取り組みであると言える。最新の自動運転やAIの技術を駆使し、どのように地域課題にアプローチしていくのか、そして自動運転へのニーズが高まっている高齢化社会に対してどのような価値を持つのか、会見や実証実験の内容を通し迫っていく。
[LIGARE vol.36 (2017.11.30発行) より記事を再構成]

ラストマイル自動運転移動サービス実証実験の概要

ラストマイル自動運転移動サービス実証実験は、神戸市、神戸自動走行研究会、NTTドコモ(以下「NTTドコモ」)、株式会社日本総合研究所(以下「日本総研」)、国立大学法人群馬大学(以下「群馬大学」)によって実施される。本実証実験は自動運転車両が実用化された際に高いニーズが予想される近距離用途の低速モビリティについて、住民が主体となって実施される自動運転サービスについての実験である。有人での低速走行の自動運転車両を用い、最寄りバス停、商店、病院までのラストマイルにおける移動サービスを地域住民が一定期間体験することにより、用途や利用者数の確認の他、投資コストの把握、自動運転関連技術の検証などを行うことを目的としている。

現代の社会状況を鑑みると、人口減少や高齢化が顕著に進行しており、その現象はそのまま運転手不足へとつながっている。都市部への人口流入も手伝い、路線バスの維持が困難になり、交通空白地域(交通結節点までの距離が1km以上の場所)が拡大している。その結果、移動に不自由を抱える人々が増加しているのが現状である。交通空白地域に居住する人は全国で700万人超とされており、地方だけでなく都市部においても広がっている。

神戸市北区筑紫が丘において

今回実証実験が実施される神戸市北区筑紫が丘においても前述の課題を解決するため住民間で話し合いがなされてきた。同地区は神戸のニュータウンの一つであるが、開発されて約40年が経つ。人口は約5,800人、世帯数は約2,200と比較的規模は大きいものの、高齢化率(65歳以上人口の割合)が40%にも達し、マイカーを手放したり、運転免許を返納する住民も増えてきており、加えて坂道が多いという地理的条件もあり、住民の移動手段の確保は地域の強いニーズとなっている。さらに、5年後には高齢化率は50%にも達する見込みで、現在マイカーで移動している層も近々同様の問題に直面することが予想されている。

そうした中で、神戸自動走行研究会の代表会社であるみなと観光バス株式会社(以下「みなと観光バス」)が地域住民とコミュニケーションを取り、意見や要望をまとめた。当初は筑紫が丘~三宮間などの都市部への中距離移送の要望が多かったそうだが、やり取りを重ねる内に日々の買い物や通院などの近距離移送、つまりラストマイル移動へのニーズが高いことが明らかとなってきた。

日本総研・創発戦略センター・マネジャーの武藤一浩氏も、住民との事前ヒアリングなどの結果「エレベーターやエスカレーターのような地域内で行きたい所へ行くための手段へのニーズが高い」ことを指摘している。2016年10月にEV車両を用いた有人運転による地域内の移動ニーズの調査を実施し、このようなラストマイル移動へのニーズは高いことが裏付けられ、今回の実証実験はそうしたニーズに応じて行われている面も大きいと言える。

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