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バリアフリーを楽しむ「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」

2018/1/9(火)

2017年11月に法人化された「特定非営利活動法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」が行う須磨ユニバーサルプロジェクトが今夏、注目を集めた。海岸にビーチマットを敷いて砂浜をバリアフリーにすることで、車いすやベビーカーでもビーチを楽しめるというプロジェクトだ。ビーチにとどまらず、水陸両用のアウトドア車いす・ヒッポキャンプを利用した山登りや農作物の収穫など、山でのバリアフリープロジェクトも開催されている。1月9日~11日には神社にビーチマットを敷くという試みが予定されている「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」とはーー。

「もう一度、海に」

「もう一度、海に入りたい」。ゴールドコーストのバーレイビーチを海岸沿いから見つめていたのは、元大手広告代理店に勤めていた木戸俊介氏だった。2015年に遭った交通事故で車いす生活を送ることになり、リハビリ療養のためオーストラリアに滞在していた。いつも砂浜の手前から眺めていたビーチにマットが敷かれているのを見つけたのは、ある週末のこと。「ビーチマットの上を通ることで波打ち際まで行くことができた。あきらめていたことが叶ったことが嬉しくて、日本に帰ったら地元の須磨海岸でバリアフリーのビーチを実現させようと思った」。

特定非営利活動法人 須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの木戸俊介氏


2016年の11月、オーストラリア滞在中に、須磨にある海の家のオーナーに連絡を取った。木戸氏の思いは人から人へと伝わり、帰国してすぐの12月には、ライフセービングクラブ、神戸市の職員など、有志のメンバーが10人ほど集まっていた。こうして、須磨ユニバーサルビーチプロジェクトはスタートした。

須磨海岸にビーチマットが敷かれる

バリアフリービーチ実現の第一歩となるビーチマットは、当初は身の回りのもので代用できないかと、フェイスブックでアイディアを募り検証したという。工事用のマットやヨガマット、ベニヤ板、8種類ほど試した結果、「耐光性、耐水性を考えると、既製品にまさるものはないと判断した」(木戸氏)。

日本製のビーチマットがないため、海外製のマットを購入。クラウドファンディングで資金を集め、販売元であるアメリカの会社と直接交渉し、購入や輸送の手配を行った。ビーチマットの導入後、水陸両用のアウトドア車いす・ヒッポキャンプをメンバーの出資で購入。その後、企業や個人から集めた寄付金で補てんした。

水陸両用のアウトドア車いす「ヒッポキャンプ」


2017年7月、須磨海岸にビーチマットが敷かれた。当初は毎週土曜日のみの開催が予定されていたが、反響が大きく、日曜日も開催することになった。結果、7~8月の2カ月間で計12回開催された。多くのメディアにも取り上げられ、バリアフリービーチの存在を世間に知らしめた。

プロジェクトメンバーにより、須磨海岸にビーチマットが敷かれた


「もう一度」ではなく、「はじめて」の海水浴

木戸氏はプロジェクトを振り返り、「兄弟の一人に障がいがあることで、他の兄弟も海に入ったことがなかったという家族は、みんなで海に入れたことにとても感動してくれた。筋萎縮性側索硬化症(ALS)で人工呼吸器をつけているお父さんは、『子どもと一緒にビーチを楽しめると思っていなかった』と言ってくれた。脳性まひで言葉のコミュニケーションがとれない子は、驚いたり、喜んだりといろいろな心の動きと表情を見せてくれた。自分と同じように、もう一度、海に入ることができる感動を届けたいと思っていたけれど、そもそも入ったことがないという人が予想以上にいて、自分の中での気づきも多かった」と語る。

ビーチマットを敷くことで車いすでも砂浜を通ることができる


全国のビーチからの問い合わせも多かった。ビーチマットはレンタル料を取らずに貸し出しを行っており※1、今夏は茨城県にある大洗サンビーチで導入検証を行った。また、和歌山県の磯の浦海水浴場でも11月に検証が行われ、現在、ビーチマットの購入に向けて各所で調整を行っているという。須磨ユニバーサルビーチプロジェクトはバリアフリービーチを全国に広めるきっかけづくりとなっている。

※1輸送代は自己負担

ヒッポキャンプからそのまま海に入ることができる


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