Luupが電動キックボードの公道実証を10月開始 西新宿のスマートシティ計画とも連携
2020/9/28(月)
⻄新宿のまちづくりを推進する⼀般社団法⼈新宿副都⼼エリア環境改善委員会(以下、環境改善委員会)と電動マイクロモビリティのシェアサービス「LUUP(ループ)」を展開する株式会社Luup(以下、Luup)は、9⽉24日に「⻄新宿地区のスマートシティ化推進に向けた連携協定」を締結した。ついに今秋、⽇本初となる電動キックボードの公道実証が始まる見通しだ。
公道実証は10月中旬以降に
環境改善委員会とLuupは今回の協定によって、⻄新宿地区における電動キックボードを⽤いた実証実験と将来的な電動キックボードのシェアリングサービスの導⼊、⻄新宿地区におけるシェアサイクルサービスの導⼊、⻄新宿地区のスマートシティ化への相互協⼒の3つに連携して取り組んでいく。その第⼀弾として実施するのが、政府認可を得た上での実施は⽇本初となる電動キックボードの公道実証だ。Luupは10⽉中旬以降※から、⻄新宿地区で産業競争⼒強化法に基づく「新事業特例制度」を⽤いた電動キックボードの公道での実証実験を予定している。
※新事業活動計画の認定は10月中旬以降を予定としており、実証の実施や緩和内容の最終確定は認定後となる。
環境改善委員会事務局長の小林洋平氏はLuupとの連携について、「西新宿に足りなかったパーソナルモビリティの活用、そして都市空間での新たなサービスやビジネスの展開に共にチャレンジし、知見を共有していきたい」と意気込みを語った。原付扱いでも、特例で自転車専用レーンが走行可能に
現在、日本の現行法において電動キックボードは原動機付自転車に該当するため、車道を走行し、かつヘルメット着用と免許帯同、ナンバープレート装着が必要となっている。それが今回の実証では、特例制度によって一部条件が緩和し、車道走行に加えて普通自転車専用通行帯の走行も可能になる見通しだ。新事業特例実証の実施エリアは千代田区、新宿区、渋谷区、世田谷区の一部(普通自転車専用通行帯を含む)で、電動キックボードは規定エリア内でのみ走行が可能。エリア全体で約100台、そのうち新宿エリアに提供ポートを3~5カ所設置し、30〜50台を提供する見込みだ。
実施期間は2020年10月中旬〜2021年3月頃の6カ月間を予定しており、一般のモニターを募る。参加条件は規定エリア内在勤者で日常的な走行な原付免許(普通免許等を含む)の保有者となり、9月16日から専用フォームで応募を開始している。
新型コロナ感染防止策や事前講習など安全対策を徹底
新型コロナウィルス感染症への対策の観点からヘルメット等の共用を避けるため、シェアリングではなく実証参加者に1人に1台ずつ電動キックボードをレンタルする形で実施する。実証参加者はLuupが用意した対人・対物保険に自動的に加入する。今回の実証実験では、特例として普通自転車専用通行帯の走行が可能になるが、それ以外の走行条件は原付の法令に基づくため、歩道走行は不可で二段階右折が必要となる。実証参加者に事前講習を行うほか、さらに交通法規に関するテストも実施し、テストで満点を採ってから実験参加を開始するなど、安全対策にも力を入れるという。
日本初の電動キックボードの公道実証「大きな一歩」
Luup代表の岡井氏は「特例の措置を受けて初めての公道の実証ということで、初めてスタート地点に立ったというのが自分の認識。電動キックボードの安全性を検証していく中で、非常に大きな一歩」だと見解を語った。実証後は参加者の利用データやアンケートなどを集めて検証し、その結果を元に、令和3年の前半を目処に「国家戦略特別区域法に基づく特例措置」の検討がなされる予定となっている。岡井氏は「段階を踏んで1つずつ実証しながら、急がず、街の皆様と自治体、関係省庁と進めていきたい」と述べた。
⻄新宿地区のスマートシティ構想とも連携
実証エリアの一つである西新宿地区は現在、環境改善委員会が中心となってスマートシティ化を推進している。西新宿エリアの将来像に「生活産業創発都心」を掲げ、新しいライフスタイルやビジネスの創造を目指して、「エリア全体の賑わいや回遊性、防災を重視したウォーカブルな空間づくりに取り組んでいる」(小林氏)という。東京都庁を代表としたオフィスビル群のイメージが強い⻄新宿エリアだが、美術館やホテルのほか、新宿駅近辺には飲⾷店や⼤学、病院、住宅もあり、近年は住友三⾓広場やSOMPO美術館などの公開空地の活用や新宿中央公園の交流拠点整備なども進んでいる。
環境改善委員会はLuupとの連携による電動キックボードの実証実験の実施に加えてシェアサイクルサービスの導⼊も検討中だ。そのほか、今年度中に次世代モビリティの実証実験やデジタルツイン、エネルギーマネジメントの実証実験も予定している。