粟島スマートアイランド事業開始 モビリティサービスや遠隔医療など検証
2020/10/8(木)
香川県三豊市が代表を務める「三豊市粟島スマートアイランド推進協議会」は10月2日、国土交通省「令和2年度スマートアイランド推進実証調査業務(三豊市)」を行うため、三豊市の粟島において実証調査を開始した。
瀬戸内海にある粟島は、島内における公共交通手段がない。そのため自家用車を所有しない島民は、徒歩や航路が島の中心地や診療所へと移動する手段となっている。今回の実証事業は、「移動」・「医療」・「物流」という観点から、持続可能な島内インフラの確立、島民が豊かに暮らし続けられる環境づくり、離島地域の活性化を目的としている。今回の実証では、三豊市が目指す多極分散型ネットワークのまちづくりや、新しい生活様式に適したまちづくりに必要な生活インフラの実証を行うことも目的としている。
■実証事業の概要
実証事業は、(1)グリーン・スロー・モビリティ(GSM)を活用した島内移動の確立、(2)新しい通信インフラによる輸送サービスの確立、(3)ICT による新しい医療体制の確保、以上の3つをテーマに据えて実施する。(1)グリーン・スロー・モビリティ(GSM)を活用した島内移動の確立 粟島港や、診療所、各集落などに停留所を設定し、島内移動の確保に向けGSMによる実証運行を行う。車載タブレットと連動するクラウド型予約・運行管理システムを導入し、管理工数軽減を図ると共に動態の可視化や人流データの把握も行う。また、GSMの充電に使用する電力についてGSM本体からの充電量を把握し、香川県内で創出された環境価値を充電量に充当する事で、島の景観を保ち、最低限のコストで粟島にあった交通インフラの脱炭素化をバーチャルに実現する。
(2)新しい通信インフラによる輸送サービスの確立 将来の陸・海・空における無人航行の実現に向けて、無人移動のドローンによる医薬品や食品等の輸送実証を行う。また、自然災害時の情報提供も視野に入れ、離島に適した通信インフラの検証も行う。また、ドローン物流の分野では、かもめやが参画。同社は7月に、あいおいニッセイ同和損保と香川大学と共同で、香川県三豊市・粟島間の無人ドローン遠隔診療実験を行った実績がある。
(3)ICTによる新しい医療体制の確保 島民の健康と、安全安心の確保に向け、診療所での医師不在時に、本土側の病院にいる医師とオンラインで会話や診療を行い、服薬を含めたオンライン医療など遠隔医療システムを実証する。同実証は事業の中で「ICTによる新しい医療体制の確保」を担当するメロディ・インターナショナルが中心となり実施する。
そのほか、実証にはあいおいニッセイ同和損保も参加する。同社は、ドローン管制システム等に対応する保険商品・サービスの開発や、ドローンによる輸送サービス実証において、これまでの CASE・MaaS 領域でのリスクマネジメントに関する知見等を提供し、実証全般のサポートを行うとのことだ。