「日本版ライドシェア」制度案 ハイタク許可・アプリ決済が必須に
2024/2/12(月)
国土交通省は2月9日から「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取り扱い」に関するパブリックコメントを開始した。
■パブリックコメント実施の背景
現在国交省は、地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供する事業、いわゆるライドシェアを可能とする制度の創設を目指している。今回のパブリックコメントは、その制度に関する基準や取り扱いについての意見を募るものだ。背景には、コロナ禍も含めた昨今の情勢による移動サービスの供給不足がある。国土交通省は今回の発表において「現在、地域・時期・時間帯によってはタクシーが捕まりづらいなど、需要に供給が追い付かなくなる状況」だと指摘している。
また、昨年12月に発表された「デジタル行財政改革会議 中間とりまとめ」の内容も影響している。同会議では「タクシー事業者が運送主体となって、地域の自家用車・ドライバーを活用し、タクシーが不足する分の運送サービスを供給すること」を目的に、道路運送法第78条第3号※に基づく制度の新設が定められた。この新たな制度案の中では、タクシー会社が一般ドライバーの教育や運行管理、自家用自動車の車両の整備管理を行い、運送責任を負うことになっている。
なお、パブリックコメントの受け付けは2024(令和6)年3月9日23時59分まで。
※自家用自動車有償運送に関わる条文
■制度の概要
1. 許可基準
【対象地域、時期及び時間帯並びに車両数】 タクシーが不足する地域、時期および時間帯ならびにそれぞれの不足車両数を、国土交通省が配車アプリ等のデータに基づき指定していること。【資格要件】 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けていること。
【管理運営体制】 運行管理、車両の整備管理や研修・教育を実施する体制が整えられていること。 安全上支障のないよう、勤務時間を把握すること。
【損害賠償能力】 タクシー事業者が対人8,000万円以上および対物200万円以上の任意保険に加入していること。
2. 許可に付する条件
【使用する自家用自動車について】 タクシー事業者ごとに使用可能な車両数は、地方運輸局長等が通知する範囲内であること。通知する車両数は、許可地域ごとに、上記の許可基準の車両数の範囲内であり、かつ、事業者ごとに当該地域に配置している事業用自動車の車両数の範囲内とする。自家用車活用事業であることを外部に表示すること。
【ドライバーについて】 タクシー事業者は、ドライバーに対して事前の研修(大臣認定講習を含む。)および教育を受けさせること。
タクシー事業者は、ドライバーに対して運転者証明を携行させること。
【運送形態・方法について】 利用者とタクシー事業者間で運送契約が締結され、タクシー事業者が運送責任を負うこと。 運送引き受け時に発着地が確定していること。
自家用車が配車されることについて、利用者の事前の承諾を得ていること。
運賃は事前確定運賃により決定し、支払い方法は、原則キャッシュレスであること。
発着地いずれかがタクシー事業者の営業区域内に存すること。
3. 許可期間
許可期間は2年とする。参照:国土交通省「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取り扱い」に係るパブリックコメントの実施について