NTT×ドコモ×日立 自律型モビリティシステムを支える研究成果の公開 高信頼・高精度な自動走行へ
2019/1/24(木)
日本電信電話株式会社(以下 NTT)、株式会社NTTドコモ(以下 ドコモ)及び株式会社日立製作所(以下 日立)は、2年間にわたって、「膨大な数の自律型モビリティシステムを支える多様な状況に応じた周波数有効利用技術の研究開発」を進めてきた。これは2017年度総務省からの受託研究だ。3社は、1月24日~26日まで開催する「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ 2019」において、上記の受託研究で開発した成果を統合し、クルマを中心とした自律型モビリティの公道走行を含むデモンストレーションおよびパネル展示を実施すると発表した。
研究の背景
超高齢化と労働人口減少を迎える中、高信頼・高精度な自動走行を実現する自律型モビリティシステムの実現が期待されている。この自律型モビリティシステムの実現のためには、移動体自身に搭載するセンサーだけでなく、高度な自己位置推定や周辺環境認知を可能とする高度地図データベース等の情報を、遅延なくリアルタイムに収集・把握する通信技術の確立が極めて重要で必要不可欠だ。そこで、自律型モビリティシステムを支える通信技術を確立するため、高度地図データベース等の多様で大容量な情報について、膨大な数の移動体との間でリアルタイムなやり取りを可能とする技術を確立するとともに、限られた電波資源を最大限に有効利用するための技術を確立した。受託研究は3つの課題から成る。今回開発した技術は、関連する標準化団体などでの標準化による国際的な普及の推進や、自動運転の実用化に伴う社会のニーズに従い、事業での活用を検討していく予定。3社は今後もこれらの取り組みを通して、自律型モビリティシステムの実現に貢献していくことを目指している。
研究の成果
課題ア 分散型のデータ処理等による高効率な通信処理技術 (NTT)
NTTの担当した研究開発のうち課題アについては、分散コンピューティング技術の一種であるエッジコンピューティング技術(※)を、クルマを中心とした高速移動体向けに利用できる技術開発を行った。具体的には、クルマなど高速移動体への大量データ送受信のため、エッジサーバ間のアプリケーションのデータ移行を、モバイル網の制御情報を活用して高速に行う技術を開発した。これにより、高速移動するクルマに対して大量の情報を分散処理で効率的に配信することが可能になる。※エッジコンピューティング技術:データセンターとデバイスの間にデータの中間処理を行うエッジサーバを設置し、データの処理計算を分散させることで、リアルタイムなサービス、ビッグデータ処理に対してより高速な処理を可能にする技術。
課題イ 複数無線システムを用いた高度地図データベースの更新・配信技術 (ドコモ)
ドコモが担当した課題イについては、自律型モビリティの走行状態やデータの用途や容量等に応じて、ダイナミックマップ(※)の差分配信や分割配信等を行う技術と、複数無線システムを連携した、動的切替や同時通信技術の技術開発を行った。これにより、モバイル網に接続されたクルマに対して途切れることなく最新の情報を効率的に送ることが可能になる。※ダイナミックマップ:道路情報や道路上の物体に関する高精度な地図情報と、道路交通情報や他のクルマ、バイク、歩行者等の状況に応じて変動する情報を、時間的・空間的に統一して扱う三次元空間情報。
課題ウ 大量の異常通信の検知・抑制による高信頼化技術 (NTT、日立)
NTTが担当した部分については、大量のトラヒックを効率的に分析して異常を検知する異常トラヒック検知技術を自律型モビリティ向けに利用可能とする技術開発を行った。具体的には、自律型モビリティのエッジ間移動のタイミングを捉えて移動元のエッジサーバから移動先のエッジサーバに対象モビリティの継続的な監視に必要最小限の情報を転送する分散協調型異常トラヒック検知技術を開発した。これにより、自律型モビリティのエッジ間移動に追随した連続的かつ効率的な監視が可能になる。日立が担当した部分は、大量の異常トラヒック発生に起因した大幅なデータ処理速度の低下、通信不全等の重大な脅威から自律型モビリティシステムを守るためのネットワーク遮断技術、運転手へのネットワークへの再接続および手動運転への切り替え通知技術等の研究開発を行った(図4)。これにより、安全・安心な自律型モビリティシステムを提供するためのネットワーク高信頼化を実現することが可能になる。
「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ 2019」について
・主催:ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ推進協議会・会期:2019年1月24日(木)~26日(土)
詳細については、イベント情報:https://www.sukamobi.com/ を参照。