NTTが挑戦するアウトドア×DX「LScamp山中湖」グランドオープン!次世代モビリティや鳥獣害ドローンも披露
2025/10/22(水)
NTTランドスケープは10月1日、山梨県山中湖村に「LScamp山中湖」をグランドオープンした。LSCamp山中湖は、アウトドア体験にICTテクノロジーを融合させたこれまでにない次世代キャンプ場。デジタルの力でユーザーの快適さと利便性を高めるとともに、周辺事業者との連携を通じて地域経済の活性化を目指している。
スマホひとつで快適に!ICTで進化する“次世代アウトドア”
多くのキャンプ場は山間部ゆえ通信環境が不安定になりがちだが、同施設ではキャンプサイト全体で快適に利用できるWi-Fiを整備した。予約からチェックイン、モバイルオーダーまでをスマートフォンアプリ「なっぷ」で一元管理できる仕組み。ブースの割り当てやルール確認などもアプリ内で完結するため、ユーザーは待ち時間なくスムーズに利用できる。
また、施設にも快適さを追求した。管理棟をはじめ、炊事場やトイレなどの水回り設備はすべてトレーラーハウスで構成されており、清潔で機能的な空間を実現している。水回りの清潔さは特に女性ユーザーの利用意欲に影響するが、ここでは安心して快適に過ごせる環境が整っている。
同社が販売も手掛けるトレーラーハウスは、宿泊棟としても機能する。室内には椅子やテーブル、ベッドを完備し、屋上で眺望を楽しみながら食事をとることが可能。可搬性が高く、災害が発生した際に仮設住宅としても利用が期待される。自然の中でありながらテクノロジーと柔軟な空間デザインが支える、新しいキャンプスタイルを体感できる場所となっている。
次世代モビリティで場内の移動をスムーズに
LScamp山中湖では、場内の移動とサービス提供の効率化を図るため、モバイルオーダーと次世代モビリティの連携システムを導入している。各ブースで飲食物や薪の追加が必要になった場合には、スマートフォンから簡単に注文可能。管理棟で注文を受けたスタッフが電動四輪モビリティ「ラクティボ」で商品を届けることで、広大なキャンプ場内でのスムーズなサービス提供を実現している。
ラクティボは、今年5月に発売された山田製作所が開発した電動四輪モビリティ。従来のスクーターとは異なり、四輪構造による高い安定性とコンパクトな設計を両立している。
また、ラクティボのタイヤにはロック機能が備わっており、坂道で停車しても後退する心配がない。操作もシンプルで、初めて触れる人でも直感的に扱える。これにより、運営スタッフだけでなく場内を移動するユーザーも安心して運転できる設計となっている。
ラクティボの最高速度は時速12km。法的には特定小型原動機付自転車に分類される。ナンバープレートを取得すれば公道も走行可能だ。キャンプ場内での移動はもちろん、将来的には近隣の観光エリアと連携した移動サービスへの展開も視野に入れている。
座席下には荷物や買い物かごを載せられるスペースがあり、重い薪や食材も楽に運ぶことが可能。静音設計のため、環境負荷の少ないサステナブルなモビリティとしても注目されている。
LScamp山中湖では現在、ラクティボを場内の移動用として運用しているが、今後はユーザーが自由にレンタルできるシェアモビリティ化を検討中。自転車や電動キックボードのように、時間単位で気軽に借りられる仕組みを導入し、市街地を自由に巡る「移動の楽しさ」も提供していく構想だ。
鳥獣害対策ドローンで”安心のアウトドア”を実現
LScamp山中湖のグランドオープンイベントでは、NTTイードローンテクノロジーによる鳥獣害対策ドローン「BB102」のデモ飛行が実施された。近年、農作物被害や鳥インフルエンザの拡大など、鳥獣害は深刻な社会問題となっており、同社はICTとモビリティ技術を融合した新たなソリューションの実証を進めている。
BB102は、上空から最大30メートル先まで赤色と緑色の2種類のレーザーを照射し、動物の行動を制御する仕組み。赤色レーザーには鳥獣を誘因する効果があり、鳥獣にはレーザーがエサのように見える。一方、緑色レーザーはシカ、イノシシ、カラスなどの視覚の痛点を刺激し、忌避行動を促す。
さらに、レーザーは万華鏡のように模様が変化し、動物がレーザーに慣れてしまうことを防ぐ工夫が施されている。従来の罠や薬剤を使う鳥獣害対策とは異なり、BB102は動物や環境に負荷をかけない非接触型のソリューションだ。レーザーは人体に無害で、安全性にも十分配慮している。ドローンによる上空警備に加えパネル型ユニットを設置すれば、より確実に広範囲を効率的にカバーできる。
このドローン技術はキャンプ場の安全確保にとどまらず、農地・養鶏場・観光地などすでにさまざまな現場で活用されている。定期的に繰り返しレーザーを照射することで、鳥獣が次第に寄り付かなくなる効果も確認されており、持続可能でスマートな鳥獣害対策となる見込みだ。
キッズケータイを活用した子どもの見守り・迷子防止

LScamp山中湖では子どもの安全管理を徹底するため、NTTドコモのスマートウォッチ「キッズケータイコンパクト」とGPS見守りサービス「イマドコサーチ」を組み合わせた仕組みを採用している。位置情報は3分ごとに自動で更新され、キャンプ場内なら数メートル単位で把握可能。親は子どもの居場所をスマートフォンで確認できる。
アウトドアシーンでは、子どもが自由に遊びながらも、いかに安全性を確保するかが大きな課題だが、この仕組みにより「自由」と「安心・安全」の両立が可能となる。
万が一トラブルが発生した場合、キッズケータイからワンタッチでSOSを発信でき、保護者のスマートフォンに通知が届く。最新の通信技術を活かし、安全と自由を両立した新しいファミリーキャンプ体験を提供している。
マインクラフトで楽しむ“リアル×バーチャル”宝探し
マイクロソフトの人気ゲーム「マインクラフト」を活用したリアルとバーチャルを融合した宝探しは、LScamp山中湖の人気イベントの一つだ。バーチャルの世界に実際のキャンプ場と同じ世界を再現し、プレイヤーは仮想空間でキーワードを探しながら現地に隠された宝を探し出すというもの。
このイベントは単なるゲームにとどまらない。初対面の子どもたちがチームを組んで協力することで自然と交流が生まれ、他の家族との絆を深める機会にもなっている。さらに、自然に触れながら学べる体験型プログラムとしても評価されており、プログラミング学習の要素も盛り込まれている。
デジタルと自然が融合したLScamp山中湖は、アウトドア体験の新たな可能性を切り拓く拠点として、次世代のキャンプ文化を発信していく。NTTランドスケープでは、今後もこの取り組みを全国へと広げ、持続可能で快適なアウトドア環境の実現を目指していく方針だ。