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パナソニック、ラストマイル向けEモビリティの運用支援システム実証着手

2022/12/28(水)

同実証事業における
IT運用支援システムの概要

パナソニック ホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)は、インドのETO Motors Private Limited(ETO Motors)とラストマイル向けEモビリティ(電動車両)のIT運用支援システムの実証事業に12月から着手した。12月26日付のプレスリリースで明かしている。
インドは人口約14億人、2021年の実質国内総生産(GDP)成長率は8.7%※ の巨大市場だ。一方で、その急激な経済成長に伴い、主に都市部での交通渋滞などによる大気汚染が深刻な社会問題となっている。

※ インド統計・計画実施省(MOSPI)発表の2021年度実質GDP成長率(通年)の推定値より。
これらの課題を解決するために、環境負荷の低いEモビリティの普及施策の実施や、メトロ交通網の拡張が進められている。さらに、メトロ交通のような公共交通の利用促進のためには、その先の、最寄り駅から目的地や、出発地から最寄り駅までの区間(ラストマイル)の交通の整備も併せて行うことが重要だ。

しかし、現状のラストマイル交通では、天然ガスで走る三輪車両“オートリキシャ”やEモビリティの、利便性や信頼性が低い。このため、自家用自動車やタクシー、ライドシェアサービスなどで乗車地点から目的地へ直接移動する割合が高くなっている。これにより、輸送密度の低い交通手段による交通量増加が深刻な渋滞や大気汚染を招くという負のスパイラルに陥っている。

このような背景のもと、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業」に取り組んでいる。そして、インドのデリー準州政府交通局とラストマイル交通における乗客の利便性と輸送効率の向上を目的とした、Eモビリティ向けIT運用支援システムの実証事業を実施することに合意した。さらに、12月に協力合意書(LOI:Letter of Intent)を取り交わしている。

その後、同事業を実施する助成先のパナソニックHDと、現地協力企業でEモビリティの製造・運営事業者であるETO Motorsは、プロジェクト合意書(PA:Project Agreement)を締結した。これを受け、両社は、メトロ交通のカルカジ・マンディール駅周辺で同システムの検証を行う実証事業に着手する。

具体的には、両社が連携して同システムを導入し、輸送効率の高いメトロ交通と環境負荷の低いEモビリティの相互利用者を増加させる。対象は、出発地や目的地とカルカジ・マンディール駅との間をつなぐラストマイル交通向けのEモビリティだ。これにより、交通量増加による渋滞や大気汚染の改善、温室効果ガス(GHG)排出量の削減を目指す。

また、同システムは、オンデマンド運行管理、配車アルゴリズム、バッテリーマネジメントの機能を有するクラウドシステムだ。Eモビリティ用充電器利用の認証・情報やEモビリティの車両・運行情報をモバイル通信でクラウド上に取り込み、オペレーター(車両運用事業者)・ドライバー・乗客向けの3つのアプリを介して、さまざまな機能を提供する。

オペレーターアプリでは、車両管理・運用、バッテリー管理を提供する。ドライバーアプリで提供するのは、需給マッピング、高精度バッテリー表示、キャッシュレス決済といった機能だ。さらに、乗客アプリでは、空き車両情報確認、乗車予約、キャッシュレス決済を提供する。

同実証では、これらのシステムを活用し、3つのアプリをオペレーター、ドライバー、乗客に導入したEモビリティの運用を通じてモニタリングによる検証を行う。検証する項目は、同アプリ導入前後における、乗客数の増加、運行効率の向上(車両稼働時間増加、到着時間低減)、運行コスト削減(運用車両削減、バッテリー活用時間向上)などだ。

検証結果をもとに運用の最適化を行うことで、ラストマイル交通における乗客の利便性と輸送効率の向上を図る。これにより、ドライバーの収益増加が期待できる。

なお、パナソニックHDは、同事業を通じて、差別化技術やノウハウを蓄積する。そして、インドと同様に、交通渋滞や大気汚染などの社会課題を抱えるアジア地域を中心に、さまざまなパートナー企業と連携しながらグローバルでのサービス展開を目指すと述べている。

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