パナソニック 自動運転の技術開発強化 コネクテッドカー向けセキュリティも注力-デジタルAV技術の活用で
2017/12/25(月)
EVコミューター、完璧な自動走行
プレス発表では、車両試験場で同社技術を搭載した2人乗りのEVコミューターの自動走行を披露した。デモ走行では、緊急時の安全確保のためにドライバーが搭乗したが、ドライバーは走行に関する操作は加えず、運転は自動で行われた。デモコースにはダミーのクルマが用意された。車両と認識したうえで回避ルートを探し、回避可能と認識すれば自動で避ける。ディープラーニングの技術を使用し、人(ダミー)の飛び出しなど、複数のものを同時に認識した回避停止も行った。コースの最後には信号があり、赤信号で停止し、青信号で発進した。自動駐車においては、全周囲ソナー12個と全周囲カメラ4個による全周囲センシングによりステアリングとブレーキを自動制御、縦列駐車や出庫の様子も披露した。
今回の走行で使用されたコミューターは、自動運転やADASの機能を解析するために試作した自動運転の試作車両だという。1年前から試走を始め、開発期間は2年。カメラやセンサーに加え、タイヤによるセンシングの結果から、自己位置の正確な認識や、前方や周辺に何があるのかを認知する。認知結果にもとづいて、車の加減速や停止、回避運動の判断を行い、車両を正確に操作して走行を行うことができる。
画像処理の技術は、カメラ技術と合わせていかに検知技術を向上させるかが重要になる。鮮明になった画像を処理する際にGPUを使用しているかという質問にパナソニックAIS社 オートモーティブ開発本部 映像・センシング技術開発センター所長の後藤昌一氏は「チップ側(LSI)での処理を実現している。GPUを使うとここまでの処理はできない。ハードと我々のDSPの技術を融合させて民生でやってきた方法で行っている」と語った。IPコア開発に携わったメンバーが全員残っており、IP開発で培った技術が上手くLSI開発に繋がっている。競合他社はADAS事業を持っておらず、そのノウハウの差でフレームの遅延がないのもパナソニックの強みだ。
また、パナソニックは2022年を目標にシステム全体の提供を予定。システムを構成するパーツはそれ以前に個別で販売していく。さらに同年には中低速での実車実験を考えているが、市街地では難しいと判断している。中低速での自動駐車などで実績を積み、ステップアップを目指す。
水山氏は「けいはんな(学研都市)地域での実証実験を年内に予定している。自社で車両を開発して売る計画はなく、貢献できる部分(モビリティサービスなど)をやっていく。既存のクルマメーカーがバリエーションを広げていく中で需要があり、さまざまなソリューションを提供していきたい」と語った。
けいはんな地区に加え、門真地区(大阪府)でも自動走行の検証を行い、10月からは「永平寺参ろーど」においても福井県と共同で自動運転の実証実験を行っているパナソニック。今回の自動走行の目的とされているカーメーカーに対してのソリューション提案の域を飛び越えて、パナソニックがクルマの自社開発を行う日がくることも予想される。
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