パイオニア、CES2020で次世代3D-LiDARセンサーなどを発表
2020/1/9(木)
■500mの遠距離計測が可能な次世代3D-LiDAR センサーを開発
パイオニア株式会社の連結子会社であるパイオニアスマートセンシングイノベーションズ株式会社(以下、PSSI)は、500mの遠距離計測が可能な次世代3D-LiDAR センサーの試作機を「CES2020」に出品した。そのほかにも、乗用車などへ後付けでき、車両の周辺環境を高精度・高解像度に検知可能な「3D 空間データ収集LiDAR kit(以下、LiDAR kit)」を開発し、その試作モデルの展示なども行った。PSSI は、キヤノンと自動運転レベル3(条件付き自動運転)以上の自動運転の実現に不可欠とされる「3D-LiDAR センサー」を共同開発しており、パイオニアのMEMS(※)ミラーを用いたスキャン技術とキヤノンの光学技術を用いた量産モデル(波長905nm)を「CES2020」に出品。量産モデルとともに出品した次世代3D-LiDAR センサーは、両社のコア技術をベースにSK Telecom 社(韓国)の送・受信技術を加えることで計測距離を大幅に伸長させた波長1,550nm のモデルで、500mの遠距離かつ高解像度な計測が可能だ。
※MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):微小電気機械システム
パイオニアは、「2020年秋から量産を開始するモデル(準広角短距離用、中距離用、長距離用、広角タイプ)に、次世代の遠距離モデルを加えることで、セキュリティ、交通監視用途や、路側センサーなどのモニタリング用途、自動運転車両における遠距離計測など、さまざまな市場、ニーズに対応することが可能になる」としている。また、各LiDAR センサーを使用して物体検知や自車位置推定などを高精度に行えるソフトウェアも開発、提供が可能だという。PSSI は、パートナー企業と技術を持ち寄り、次世代3D-LiDAR センサーのさらなる高性能化、小型化およびソフトウェアの開発を進め、2021 年以降の実用・商用化を目指している。
■乗用車に後付けできる「3D 空間データ収集LiDAR kit」を出品
そのほかにも、パイオニアとPSSIは、乗用車などへ後付けでき、車両の周辺環境を高精度・高解像度に検知可能な「3D 空間データ収集LiDAR kit(以下、LiDAR kit)」を開発し、その試作モデルを出品した。
LiDAR kitは、「3D-LiDAR センサー」とカメラ、GNSS(全球測位衛星システム)を一体にしたハードウェアと、物体認識や位置推定、差分抽出を行うソフトウェアアルゴリズムをセットにしたトータルソリューションだ。乗用車や業務車両などの屋根の上にLiDAR kitを後付けでき、複雑な調整を行うことなく周辺物体の位置や距離、形などを正確に検知し、3D空間データとして収集することが可能になる。周辺環境や路面標示、道路の凹凸などの情報まで含む3D 空間データは、地図更新のほか、マーケティング用データの作成などへ活用も期待されている。なお、「CES2020」に出品している試作モデルでは、株式会社カーメイトの360度カメラ「d’Action 360 S(DC5000)」を使用しているとのこと。
PSSIは、3D空間データの収集・活用を効率的かつ低コストで実施したい企業をターゲットに、2020 年秋からLiDAR kitの販売を開始する予定だ。